労働条件通知書の書面明示してますか?違反すると30万円以下の罰金も。今見直したいポイントを解説。

せっかく採用した人材が、入社直後に「求人広告と内容が違う」と離職してしまうケースが後を絶ちません。

早期離職は採用コストの損失だけでなく、SNS等での「ブラック企業」という不本意な評判に繋がり、将来の採用活動に致命的なダメージを与える恐れがあります。

今回は、求職者が抱きやすい「条件のズレ」に関する事例をもとに、企業と労働者のボタンの掛け違いを防ぐためのチェックポイントを整理しました。

貴社の「労働条件通知書」が、現在の求人内容や最新の法令と食い違っていないか、今一度見直してみませんか?

 なぜ「求人広告と内容が違う!」という不満が生まれるのか?

求職者が抱く不満の中で特に多いのが、「入社してみたら、求人広告の条件と実態が異なっていた」というものです。

よくあるトラブル事例

「基本給30万円」のはずが…(固定残業代の明示不足)

入社後に渡された書面を見ると、基本給は23万円で、残りの7万円は「固定残業代」だった。

求人票にその内訳や時間が記載されていないケースは、職業安定法違反になります。

「基本給30万円」のはずが…(試用期間の記載漏れ)

求人広告には試用期間の記載が一切なかったのに、入社当日に「最初の3ヶ月は試用期間なので給与は月25万円」と初めて知らされた。

試用期間の有無や、期間中の労働条件が本採用時と異なる場合は、求人票の段階ですべて明示しなければなりません。

「年間休日120日」のはずが…(休日設定の不備)

実際に入社してみると、祝日は有給休暇を強制的に消化して休む形になっていた。

これは求職者が期待する「休日数」と実態が異なるため、強い不信感に繋がります。

「そもそも労働条件通知書が交付されない」

労働基準法第15条により、労働条件の書面明示は義務付けられています。

これに違反した場合、30万円以下の罰金が科せられる可能性があるだけでなく、企業のコンプライアンス姿勢を厳しく問われることになります。

労働条件通知書の交付は、外国人労働者を雇用する際も必要です!

留学生アルバイト採用に役立つ「やさしい日本語の雇用条件確認シート」や「面接質問リスト」も収録した【失敗しない!留学生アルバイト採用の教科書】資料もぜひ合わせてご確認ください。

その書類、会社を守る「盾」になっていますか?

こうしたトラブルを防ぐために最も重要なのが、入社前に正確な条件を「書面」で提示し、双方が内容を確認することです。改めて、貴社で使用している書類を確認してみてください。

  • 労働条件通知書(義務) 労働基準法に基づき、賃金や労働時間などの絶対的明示事項を「知らせる」ための書類。

  • 雇用契約書(任意) 会社と労働者が内容に「合意」したことを証明する契約書。

法的義務を果たすためには、少なくとも労働条件通知書の交付が必須です。

雇用契約書の交付は必須ではありませんが、労働条件通知書に署名欄を設けて合意を得るなどして、労働条件通知書と兼ねる形式が一般的です。

何より大切なのは「最新の法改正に対応した正確な項目」が網羅されていることです。

丁寧な書面提示は「誠実な経営を行っている」という証となり、ミスマッチによる早期離職を防ぐ強力な盾になります。

【効率化のポイント】労働条件通知書の「電子化」

2019年4月より、労働者が希望した場合には、労働条件通知書のメールやSNS、クラウドサイン等による「電子明示」が認められています。電子化により、内定後すぐに条件を提示できるため、他社への流出(内定辞退)を防ぐスピード感のある採用が可能になります。

 採用トラブルを未然に防ぐ!見直しのための3大チェックポイント

実際の労働条件と労働条件通知書の内容が異なる場合、原則として労働者に有利な条件が優先されます。

現在利用している雛形を、最新の法令・実際の労働条件・求人内容と照らし合わせ、特に以下の3点を注意しましょう。

1.求人広告(最新版)の数字と「1円・1日」まで一致しているか?

「賃金(基本給、固定残業代、手当など)」や「所定労働時間」「休日数(または勤務日数)」は厳密にチェックしましょう。

職業安定法では、求人時と契約時の条件が異なる場合、その内容を速やかに明示することが義務付けられています。

2.条件変更を「内定時」までに伝えているか?

選考過程で予期せず労働条件に変更が生じた場合は、その変更内容を「速やかに」通知する必要があります。

入社日に初めて変更を告げるのは、法的なリスクだけでなく、企業として信頼を裏切る行為となります。

3.「変更の範囲」まで明記されているか?

2024年4月の法改正により、「契約期間」に加え、将来的な「就業場所」や「従事すべき業務」の変更の範囲まで明示することが義務化されました。

これまでの古い雛形をそのまま使っている場合、法改正に対応できていない可能性があるため注意が必要です。

将来的なことで「変更の範囲」が書きづらい...というときは...!

全ての本・支店に転勤の可能性があるのであれば「本社及び全ての事業所」と記載したり、業務内容についても「当社事業所におけるすべての業務」という記載でもOKです

確実な見直しのために:厚生労働省の公式様式の活用

「今の雛形が最新の法改正に対応できているか不安」という場合は、厚生労働省が公開している標準的な様式を確認することをお勧めします。

公式の様式をベースに自社の条件を反映させることで、法的リスクを抑えつつ、正確な条件明示が可能になります。

特に2024年4月の改正内容を反映した最新版のモデルは、チェックしておくと安心です。

主要な様式や記入例は、以下の厚生労働省ホームページから確認・ダウンロードが可能です。

▶︎ 主要な様式(労働条件通知書など)|厚生労働省(外部サイト)
※ページ内の「労働条件通知書(モデル)」をご確認ください。

厚生労働省委託事業により制作された【募集・採用の基礎知識】ハンドブックを無償でお渡ししています。
北海道内の企業・事業主様で、ご希望の方はお問い合わせいただき、ぜひご活用ください。

まとめ:信頼される企業であるための「最終確認」を

採用活動の本当の成功は、入社した人が「この会社に入って良かった」と安心して働き始め、定着することです。そのためには、入り口での正確な条件提示が欠かせません。

最後に、これだけは必ず見直しましょう。

  • 求人票と1円・1日のズレもないか?(不信感の防止)

  • 法改正(変更の範囲)に対応しているか?(コンプライアンスの遵守)

  • 内定時までにすべての条件を伝えたか?(トラブルの未然防止)

もし今の書面に少しでも不安があれば、まずは厚生労働省の公式様式をチェックしてみてください。

正しい手順で丁寧な条件提示を行う。その「当たり前」の徹底が、会社を守る盾となり、新しい仲間との強固な信頼関係を築く第一歩になります。


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Writer

ヒトキタ編集部 小林陽可


Profile

求人営業部での法人営業を経験した後、WEB記事のライティングや自治体への移住施策企画のディレクション等に従事。現在は広報業務・営業支援を行う。