
2025年6月に北海道の採用担当者向けに実施したアンケートでは、「採用業務を得意と感じるか?」の問いに対して「どちらかというと採用業務が苦手」と回答した人が58%、その理由として「面接のやり方に自信がない」「人と話すのが苦手」と回答した方が一定数いらっしゃいました。
そこで今回は、そんなお悩みを解消するため、面接の質を劇的に向上させるための「アイスブレイク」のコツをご紹介します。効果的なアイスブレイクは、求職者の緊張を和らげるだけでなく、企業と求職者双方にとってメリットをもたらします。
アイスブレイクとは?
アイスブレイクとは、緊張を和らげ、場を和ませるための会話のこと。「どんなことを聞かれるのだろう…」「志望動機をうまく伝えられるかな…」「採用してもらえるかな…」と不安を抱える求職者に安心して話してもらうための、必須のコミュニケーション手法です。
面接担当者自身もアイスブレイクによって、「何を話したらよいかわからない」「話すことが苦手」というお悩みから開放され、「双方の緊張を和らげて面接をより有意義にする」一石二鳥のメリットがあります。
アイスブレイクの具体的なコツ
1.歓迎の言葉を添える
「こんにちは。〇〇社の○○と申します。本日はお越しいただき、ありがとうございます。」
自分の名を名乗り、軽い挨拶から始めるのが一般的ですが、冒頭に「歓迎の意思表示」をすることで、求職者は安心します。面接は「採用する側・される側」という上下関係を感じさせやすい場ですが、冒頭で丁寧な歓迎の言葉を伝えるだけで、対等な立場で話せる雰囲気が生まれます。この一言が、その後の面接の質を大きく左右すると言っても過言ではありません。
2.答えやすい質問から始める
面接の冒頭は、求職者が最も緊張している瞬間です。いきなり志望動機や職務経歴といった本題に入るのではなく、誰でも簡単に答えられる質問から始めましょう。
天候や移動手段について聞く:
◦「まだ雨は降っていましたか?お足元が悪い中、ありがとうございます。」
◦「今日はどちらからいらっしゃいましたか?通勤は大変でしたか?」
オンライン面接ならではの質問:
◦「音声は聞こえていますか?画面はきれいに見えていますか?」
◦「画面越しだと少し緊張しますよね。今日はこの後ご予定はありますか?」
たとえ「そうですね」「大丈夫です」といった簡素な会話で終わったとしても、相手が声を発する機会を作るだけで、その後のコミュニケーションがスムーズになります。
3.共通点で和ませる
人は自分と似ているところがあると、親近感を抱きやすいものです。共通の話題を見つけることで、場の雰囲気が自然と和みます。
出身地や出身校の話題:
◦「〇〇大学出身なんですね。大学前にある定食屋さん、美味しいですよね!」
趣味や前職の話題:
◦「履歴書拝見しました。〇〇がご趣味なんですね。最近はどんなことを楽しんでいますか?」
◦「〇〇(前職の企業)にお勤めだったんですね。私も以前、御社と仕事で関わることがありました。」
完璧な共通点を探す必要はなく、少しでも共通項が見つかれば、一気に心の距離が縮まります。会話が盛り上がれば、求職者は「この会社に親しみを感じる」と思ってくれるでしょう。
4.答えを受け取り、共感する
「そうなんですね!」「なるほどねぇ!」といった相づちは、重要なコミュニケーションツールです。「ふーん」「わかりました」といった通り一辺倒な返事ではなく、相手の回答に共感をにじませることで、「自分に興味を持ってくれている」と感じてもらえます。
この時、笑顔で対応できているか、口調は横柄になっていないかなど、自分が相手にどう見えているかを意識することも重要です。相手の言葉に真摯に耳を傾ける姿勢は、信頼関係を築く上で欠かせません。
アイスブレイクの効果をさらに深掘りする
アイスブレイクは単なる雑談ではありません。企業と求職者双方に、以下のような複数のメリットをもたらしてくれるものです。
・求職者の本音を引き出す:緊張が和らぐことで、求職者は建前ではない、より本質的な考えや価値観を話しやすくなります。これにより、入社後のミスマッチを未然に防ぐことができます。
・企業イメージの向上:丁寧なアイスブレイクは、「社員を大切にする会社」「風通しの良い職場」といったポジティブな企業イメージを求職者に与えます。
・面接の質向上:リラックスした雰囲気は、求職者が本来持っているスキルや魅力を十分にアピールできる環境を生み出します。結果として、採用の判断材料が増え、より精度の高い選考が可能になります。
注意すべきポイントとNG例
効果的なアイスブレイクのためには、いくつかの注意点もあります。
・時間配分に注意する:アイスブレイクは全体の面接時間の5〜10%が目安です。長くても3〜5分に抑え、本題にスムーズに入れるようにしましょう。長すぎるとだらだらとした印象を与えてしまいます。
・プライバシーに踏み込みすぎない:恋愛や家族構成、思想・信条など、プライベートな話題に深く踏み込むことは避けましょう。求職者に不快感や警戒心を抱かせてしまいます。
・一方的に話しすぎない:アイスブレイクは、あくまで求職者が話しやすい雰囲気を作るためのものです。面接官が一方的に話し続けてしまうと、本来の目的から外れてしまいます。
・NGな質問例:
◦「緊張していますか?」はかえって緊張をあおることがあります。
◦「今日のために準備したことはありますか?」はプレッシャーを与えてしまうことがあります。
面接は選考の場であるため、職務経歴や志望動機など、聞きたいことから話を進めがちです。しかし、それだと一問一答のやり取りに終始してしまう可能性もあります。人事担当者の目的は、求職者に「今日は全て出し切れた!」と心から感じてもらうこと。お互いにリラックスして臨めた面接は、採用の判断材料を増やすだけでなく、その後のミスマッチを防ぐことにもつながります。ぜひ、今回ご紹介したアイスブレイクのコツを実践してみてください!
 
      Writer
ヒトキタ編集部 庵彩乃
Profile
札幌・函館・北見エリアの求人営業を経験後、現在は採用お役立ち記事の制作や自社メディア・イベントの販促、企業向けマーケティングを担当。
