求人票の給与記載の正しい書き方とは?注意点と応募率を高めるコツ

「求人票を出しても応募が来ない」「面接に来た求職者と給与条件で話が噛み合わない」

もしも今、このような悩みを抱えているなら、その原因は「求人票の給与欄の書き方」にあるかもしれません。

求人票では、仕事内容と並んで求職者が最も重視するのが「給与」です。しかし、給与の記載方法は法律(職業安定法や労働基準法)によるルールが細かく、正しく魅力的に書くにはコツがいります。「書き方が分からないから」と曖昧な表記にしてしまったり、知らず知らずのうちに法令違反の記載をしてしまったりするケースも少なくありません。

誤った給与記載は、応募数の減少だけでなく、労働基準監督署からの指導や、最悪の場合は法的な罰則、SNSでの炎上といった企業リスクにも直結します。

本記事では、採用担当者が知っておくべき法令順守のルールから、求職者の目を引き応募率を高めるための具体的な書き方までを網羅的に解説します。採用活動の成功とリスク管理の両面から、ぜひ貴社の求人票を見直してみてください。

求人票の給与の書き方が重要な理由

なぜ、給与の書き方にこれほどこだわる必要があるのでしょうか。それは、採用活動の「攻め(応募獲得)」と「守り(リスク管理)」の両方において、給与欄が決定的な役割を果たすからです。

1.求職者が最も重視する項目だから

求職者が求人を探す際、検索条件の最上位に来るのは間違いなく「給与」です。しかし、単に高い金額を提示すれば良いわけではありません。重要なのは「透明性」と「納得感」です。例えば、以下のような記載を見たとき、求職者はどう感じるでしょうか。

  • 月給20万円~50万円(経験・能力による)
  • 給与:応相談
  •  月給25万円(内訳不明)

幅が広すぎる記載は「自分は結局いくらもらえるのか?」という不安を招きます。「応相談」のみの記載は判断材料がなく、検討の土俵にすら上がりません。また、内訳が不明瞭な高額提示は「過酷なノルマがあるのではないか」「残業代が含まれているのではないか」という不信感を与えます。

多くの求職者は、複数の企業を比較検討しています。他社と比較しやすい具体的で明確な情報を提示することは、求職者の不安を取り除き、採用成功への第一歩を踏み出すために不可欠です。

2. 法令違反やトラブルを防ぐため

求人票の記載内容は、職業安定法や労働基準法などの法律で厳格に規制されています。虚偽の記載や、誤解を招くような不適切な表示は法律違反となり、「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」などの罰則が科される可能性があります。

また、法的な罰則以上に怖いのが、採用後のトラブルです。「固定残業代込みだと知らずに入社し、基本給が想定より低かった」といった認識の齟齬は、内定辞退や早期離職の最大の原因です。さらに近年では、こうしたトラブルがSNSで拡散され、「ブラック企業」というレッテルを貼られてしまう炎上リスクも無視できません。

法令を遵守し、誠実な情報提供を行うことは、企業の信頼とブランドを守るための最低限の防衛策なのです。

求人票の給与の具体的な書き方と表記例

それでは、実際にどのように記載すればよいのでしょうか。ここからは法令ルールを踏まえた上で、雇用形態別の具体的な書き方と、そのまま使える表記例を紹介します。

1.時給制の記載例(パート・アルバイト)

パート・アルバイト募集で一般的な時給制。単に時給額を書くだけでなく、稼げるイメージを持たせることがポイントです。

基本的な時給の表記

必ず最低賃金以上の額(地域別最低賃金を確認)を記載します。経験者や有資格者を優遇したい場合は、幅を持たせた書き方が有効です。

  • 【パターン1:シンプル】時給 1,200円

  • 【パターン2:幅を持たせる】時給 1,200円 ~ 1,500円
    ※経験・能力を考慮の上、決定します。
    ※研修期間(3ヶ月)は時給 1,100円

昇給・手当の記載

時給以外のメリットもしっかり記載しましょう。特に交通費や割増賃金についての記述は、コンプライアンス意識の高さを示せます。

  • 昇給:あり(年1回、能力に応じて10円~50円UPの実績あり)

  • 交通費:全額支給(規定あり)

  • 諸手当:深夜割増手当(22時以降は時給25%UP)、土日祝手当(時給+100円)

月収例の併記

「時給1,200円」だけでは、実際に月にいくら手元に入るかイメージしにくいものです。働き方のパターンに応じた月収例を併記しましょう。

●ガッツリ稼ぎたいフリーターAさんの場合
月収 21万1,200円
(時給1,200円×8時間×22日勤務)
●扶養内で働く主婦Bさんの場合
月収 5万7,600円
(時給1,200円×4時間×12日勤務)

2.日給制の記載例

建設業や運送業、警備・イベントスタッフなどで多い日給制。日給額の高さに目が行きがちですが、労働時間との関係性を明確にすることが重要です。

基本的な日給の表記

日給額に加え、「実働時間」を必ず明記してください。これは、日給を時間換算した際に最低賃金を割っていないかを確認するためにも必須です。

日給 12,000円 ~ 15,000円
※実働8時間、休憩1時間
※経験・資格により優遇

月収例の提示方法

日給制は天候や現場の状況で稼働日数が変わることがあります。平均的な稼働日数と月収目安を示すことで、生活の安定性をアピールできます。

【月収例】

月収 30万円可能!
(日給12,000円 × 25日稼働の場合)
※雨天時も工場内作業等で稼働保証あり。安定して稼げます。

3.月給制の記載例(正社員)

正社員募集で最も一般的な月給制は、内訳の明確さが鍵を握ります。「基本給」と「手当」を分けて書くことが鉄則です。

基本給のみの場合

最もシンプルで誤解のない書き方です。手当は別途記載します。

月給 220,000円
※残業代は別途全額支給
※別途、交通費・家族手当支給

一律手当を含む場合

全員に一律で支払われる手当を含めて「月給」として表示する場合、必ず内訳を記載します。これは賞与の算定基礎(基本給ベースか月給ベースか)を明確にするためにも重要です。

月給 250,000円

【内訳】
基本給:200,000円
一律営業手当:30,000円
一律住宅手当:20,000円

固定残業代(みなし残業代)を含む場合

ここが最もトラブルになりやすい箇所です。法令で定められた「3要素(金額・時間数・超過分の支払い)」を必ず記載してください。

月給 280,000円

※固定残業代(65,000円、40時間分)を含む。
※40時間を超える時間外労働分は追加で支給。
【内訳】
基本給:215,000円
固定残業代:65,000円

その他手当の記載

月給に含まれない手当(条件に該当する人のみ支給)をリストアップします。福利厚生の充実は企業の大きな魅力です。

【別途支給される手当】

  • 家族手当(配偶者:1万円、子1人につき:5,000円)
  • 資格手当(宅建:2万円、FP2級:5,000円)
  • 役職手当

4.賞与・昇給の書き方

「あり/なし」だけでなく、実績を具体的に書くことで、将来の年収イメージを湧かせます。

賞与の記載例
  • 賞与: 年2回(7月・12月)
  • 昨年度実績: 計3.5ヶ月分
    ※業績により変動あり(創業以来、毎年支給実績あり)
昇給の記載例
  • 昇給: 年1回(4月)
  • モデルケース:
    • 入社3年目:月給25万円 → 27万円(リーダー職)
    • 入社5年目:月給30万円(マネージャー職)
      ※個人の評価と業績により決定

採用コストの高騰を防ぐために知っておくべきこと

ここまで具体的な書き方をご紹介しましたが、実は「書き方を工夫するだけ」では解決しない採用課題も増えています。

【事実】採用単価は年々上昇している

昨今の少子高齢化による「超売り手市場」において、1人を採用するためにかかるコスト(採用単価)は年々上昇傾向にあります。求人を出しても反応が鈍く、従来通りの予算や手法では人が採れない時代に突入しています。

【理由】KPI分析なき施策はコストの無駄遣い

「給与を高く見せよう」「書き方を変えよう」という工夫は大切ですが、そもそもターゲット設定や媒体選定が間違っていたり、KPI(応募単価や面接率、採用率)を正しく分析できていなかったりすると、効果の出ない施策にコストをかけ続けることになります。

給与設定も、「相場よりなんとなく高くした」だけでは経営を圧迫するだけです。市場データを踏まえた「勝てる適正ライン」の見極めが必要です。

【解決策】データに基づいた採用戦略を

北海道アルバイト情報社(HAJ)では、長年の求人メディア運営で培った豊富な実績とビッグデータに基づき、市場相場を踏まえた適正な給与設定のアドバイスが可能です。単なる求人枠の販売ではなく、「どうすればターゲットに届くか」「適正な給与額はいくらか」といった戦略部分からサポートいたします。

「給与を見直したいが基準が分からない」「採用率の課題を根本から解決したい」と考えているなら、まずはHAJへお気軽にご相談ください。

求人票の給与記載で守るべき法令上のルール

書き方のテクニックを駆使する前に、絶対に守らなければならない「法令上の5つのルール」を再確認しましょう。これらは職業安定法や労働基準法に基づいた必須事項です。

1. 最低賃金以上の金額を表記する

当然のことですが、国が定める「最低賃金」を下回る金額での募集は法律違反です。 違反した場合は、最低賃金法により50万円以下の罰金が科される可能性があります。

注意点:

  • 地域別最低賃金: 都道府県ごとに異なります。毎年10月頃に改定されるため、必ず最新情報を確認してください。
  • 特定(産業別)最低賃金: 特定の産業(自動車製造業など)には、地域別よりも高い最低賃金が設定されている場合があります。

2. 確実に支払える金額のみを記載する

「月給20万円~40万円」と書いてあるのに、実際は全員が20万円スタート、あるいは「能力に応じて」といって20万円を下回る提示をするのはNGです。

ルール:

  • 「応相談」のみの記載は不可。必ず下限額を明示する。
  • 幅を持たせる場合は、客観的な根拠が必要。
  • 確実に支給される額(下限額)をメインに記載する。

3.基本給と手当を明確に区別する

月給制の場合、総支給額だけでなく「基本給」と「各種手当」を明確に区別する必要があります。ハローワークの求人票でも以下の区分が求められます。

  • 基本給: 給与のベースとなる部分。
  • 定額的に支払われる手当: 毎月固定で全員に支払われる手当。
  • その他の手当: 残業代や条件付きの手当。

基本給欄に含めてはいけないもの

以下を「基本給」に含めて記載すると、基本給が不当に高く見え、誤認を招きます。また、残業代の計算基礎単価をあやふやにすることになり、違法リスクが高まります。

  • 固定残業代

  • 営業手当などの各種手当

  • インセンティブ(歩合給)

  • 賞与

一律支給手当の扱い方

全員に固定で支払われる手当(例:一律物価手当 1万円)は、月給の総額に含めて表記しても構いませんが、必ず内訳を明記してください。

条件付き手当の記載方法

該当者のみに支払われる手当(家族手当、住宅手当、資格手当など)は、月給額には含めず、別途「その他手当」等の欄に支給条件とともに記載します。これにより、求職者は自分が対象になるか判断し、自分の総支給額をシミュレーションできます。

4. 固定残業代を含める場合の必須記載事項

固定残業代(みなし残業代)制度を導入している場合、求職者が「基本給」と「残業代」を混同しないよう、以下の3点を記載することが義務付けられています(職業安定法)。

記載必須の3要素

  1. 固定残業代の金額(例:固定残業代 45,000円)
  2. その金額に相当する労働時間数(例:30時間分)
  3. 超過分は別途支給する旨(例:30時間を超える時間外労働は追加で支給)

正しい記載例と違反例

基本給と固定残業代を曖昧にすると、「基本給を低く設定して残業代を抑えようとしているのでは?」と疑われ、ブラック企業認定されるリスクがあります。

× 違反例:「月給25万円(残業代含む)」
これでは基本給がいくらか分からず、何時間の残業が含まれているかも不明です。

○ 正しい例:「月給25万円(固定残業代 30時間分、5万円含む。超過分は別途支給)」
内訳が明確で、超過分の対応も約束されています。

5. 試用期間・研修期間中の給与が異なる場合の記載

試用期間中に給与額が本採用時と異なる場合は、その期間と金額を必ず併記しなければなりません。

記載例:

月給 22万円※試用期間3ヶ月あり(期間中は月給 20万円)

記載がない場合、求職者は「試用期間中も同条件」と認識します。入社後に「実は試用期間中はマイナス2万円」と告げるのは不利益な条件変更となり、トラブルの原因になります。もちろん、試用期間中の給与であっても最低賃金を下回ることはできません。

求人票作成時のチェックリスト

最後に、求人票を公開する前に確認すべき項目をリストにまとめました。「法令遵守(守り)」と「応募率向上(攻め)」の2つの観点でチェックしてください。

【法令遵守チェック】リスク回避のために

□ 提示金額は、最新の「最低賃金」を上回っていますか?
□「基本給」と「各種手当(一律手当・条件付き手当)」は明確に区別されていますか?
□固定残業代を含む場合、「金額」「時間数」「超過分支給の旨」の3点を記載していますか?
□「基本給」の中に、固定残業代や歩合給を含んでしまっていませんか?
□試用期間中の給与が異なる場合、その金額と期間を明記していますか?
□実際に支払う予定のない「釣り」の高額給与を記載していませんか?

【応募率向上チェック】魅力付けのために

□ 給与に幅を持たせる場合、下限額だけでなく上限額や、その根拠を記載していますか?
□「月収例」や「年収例」を具体的な計算式とともに記載し、入社後の生活をイメージさせていますか?
□賞与や昇給について、「あり」だけでなく「昨年度実績」や「回数」を具体的に書いていますか?
□手当(家族、住宅、資格など)を網羅的に記載し、福利厚生の充実をアピールしていますか?


まとめ

求人票における給与の記載は、企業の法的リスク管理であると同時に、優秀な人材を獲得するための重要な採用戦略です。

職業安定法や労働基準法といった法令ルールを徹底的に守ることは大前提です。その上で、基本給、手当、固定残業代の内訳を透明化し、月収例や実績などの具体的な情報を開示することが、求職者の不安を払拭し、応募数を増やす鍵となります。

給与の額面だけでなく、手当や昇給制度を含めた「総合的な待遇の魅力」を正しく伝えることで、貴社にマッチした人材の採用につなげてください。


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Writer

ヒトキタ編集部 友坂 智奈


Profile

法人営業や編集職を経て、広報を担当。現在は、SNSや自社サイトの運用をはじめ、イベントやメルマガを活用した販促・営業支援企画も手掛けている。