求人票で書くべき項目や記載例・書いてはいけない内容などを解説!

求人票は、応募する求職者が労働条件を確認できる重要な書類です。しかし、求人票の書き方がわからず作成に踏み出せなかったり、自分の書く求人票が果たしてうまく書けているか自信の持てない人事ご担当者様もいるかと思います。

この記事では、求人票に記載すべき必須項目や禁止されている内容、魅力的な書き方のコツなどを解説します。求人票の書き方を知りたい人事担当者は、ぜひ最後までチェックしてみてください。

求人票とは

求人票とは、企業が人材を募集する際に、仕事内容・労働条件・応募資格などをまとめて提示する書類のことです。ハローワークや求人サイトでは、それぞれの求人票のフォーマットをもとに求人情報が提示されます。

会社に応募する求職者にとっては、その企業に応募するかどうかを判断するための最初の情報源となります。また、求人票には特定の事項を記載することが義務づけられているため、記載事項を把握することが大切です。求職者に自社の魅力を正確に伝え、応募を促すためにも、丁寧に作成する必要があります。

求人票に最低限記載するべき項目

職業安定法施行規則では、求人票に最低限記載するべき項目(※1)の具体的内容を定めています。

【求人票に記載するべき項目と、その詳細】※2025年8月時点

項目 内容

(1)業務内容

募集職種と具体的な業務内容を明記(例:法人営業/経理事務/夜勤専従の介護職員など)

(2)就業場所

所在地・テレワーク可否なども含めて記載(例:札幌市◯◯区◯◯、一部在宅勤務可)

(3)契約期間

期間の定めの有無を明示(例:期間の定めなし/6か月更新)

(4)試用期間の有無と内容

試用期間の有無、期間、待遇差がある場合の内容を記載

(5)就業時間

始業終業・休憩時間を明確に(例:9:00~18:00/休憩60分)

(6)休日・休暇

休日や年間休日数などを明記(例:完全週休2日、年間122日 など)

(7)時間外労働

有無・想定時間・固定残業代の扱い(例:月平均10h)

(8)賃金

月給・手当・賞与・年収例/固定残業代制の場合はその内訳も必須

(9)加入保険

雇用・労災・健康・厚生年金の有無を明記

(10)募集者の名称

企業の法人名を正式に記載

(11)雇用形態

正社員/契約社員/派遣社員など明確に

(12)派遣の場合の明示

派遣労働者としての雇用である旨を記載

(13)業務内容の変更の範囲 原則として募集職種に限定/将来的に他業務への異動ありなど
 
(14)就業場所の変更の範囲

「転勤なし」「全国転勤あり」など

(15)有期契約の更新基準

業績および勤務態度により判断/原則更新なしなど

記載項目が不十分であると、ハローワークや求人サイトで求人を掲載できない可能性があります。求人票を書く前に、記載が必要な内容は必ず確認しましょう。

求人票の書き方の例|業務内容の場合

求人票の書き方の例として、業務内容の書き方の良い例と悪い例を紹介します。求人票に記載する項目の中でも、業務内容は特に書き方で差が出やすい部分です。それぞれの良い点・悪い点を確認しましょう。

良い書き方・悪い書き方の例|業務内容の場合

【良い例】

『不動産賃貸・売買仲介事業の会社です。物件情報の入力・更新、契約書類や見積書の作成補助のお仕事をお任せします。Excelを使ったデータ入力や資料作成がメインです。書類作成は用意されたテンプレートに情報を入れていくだけなので難しくありません。パソコンの基本操作(入力)ができる方ならすぐに覚えられます。電話応対や来客対応はありません。』

ポイント:
・会社の事業内容とともに具体的な業務内容が記載されており、働く姿をイメージしやすい
・どういった人が働きやすいかの記載が明確であり、わかりやすい

【悪い例】

『事務を担当していただきます。未経験からスタートできる簡単な業務です。』

ポイント:
・先ほどの良い例と異なり、大まかな
業務内容しか記載されていない
・「未経験でもできる」と書かれているだけでは、なぜ未経験でも大丈夫なのかわからないため、応募者は不安に感じやすい

業務内容は簡単に書くのではなく、文字数の範囲内で具体的に書こうとする意識が大切です。また、「その仕事をする自分のイメージがわく」業務内容を表現するためには、かみ砕いた言葉で具体的な説明をする、専門性のある言葉を使わない、などの工夫も必要です。

求人票に書いてはいけない内容

法律上、求人票に書いてはいけない内容がいくつか定められています。具体的には以下の通りです。

・性別を制限する表記
・年齢を制限する表記
・最低賃金を下回る賃金額
・虚偽の労働条件
・国籍や人種を差別する内容
・身体的特徴や、心身の障害の有無で制限する内容

ここからは、求人票に書いてはいけない内容の詳細をご紹介します。法律に遵守した記載を行うために、必ず確認しましょう。

性別を制限する表記

男女雇用機会均等法により、採用活動において性別を理由に求職者を差別することは禁止されています。「男性歓迎」「女性スタッフ募集」といった直接的な表現は、法律違反となるため記載できません。また、「営業マン」「保母さん」など、特定の性別を連想させる職種名も避け、「営業職」「保育士」のように、性別を特定しない中立的な名称を使用しましょう。

ただし、一部の職種では例外的に性別による制限が認められる場合もあります。(女優や巫女など)

年齢を制限する表記

労働施策総合推進法により、原則として募集・採用時に年齢制限を設けることは禁止されています。「20代の方を募集」「35歳まで」といった、応募できる年齢を限定する表記は認められていません。ただし、法律で定められた例外事由に該当する場合は年齢制限が可能です。年齢制限を設ける場合は、求人票にその理由を具体的に明記する義務があります。

【法律で定められた例外事由】
・定年が60歳なので59歳以下の方を採用したい場合
・警備業のように法令で警備員になる人物の年齢が制限されている場合
・長期勤続によりキャリア形成を図る観点から、より若い人材を期間の定めなしに採用したい場合
・既存の従業員においてある世代の人数が少なく、技能やノウハウの承継に問題がある場合
・演劇の子役のように、芸術・芸能分野の表現で真実性を確保する目的がある場合
・60歳以上の高齢者や特定の年齢層の雇用を促進する政策のもと、対象の年齢層の人を採用する場合(例:45歳以上)

最低賃金を下回る賃金額

最低賃金法に基づき、企業は労働者に対して、国が定める最低賃金額以上の賃金を支払わなければいけません。求人票に記載する給与が、事業所のある都道府県の最低賃金を下回らないように注意が必要です。最低賃金は時間額で定められているため、月給制の場合は「月給 ÷ 1ヶ月の平均所定労働時間」で時間額を算出し、基準をクリアしているか確認が必要です。最低賃金額は毎年改定されるため、求人票を作成する際には必ず最新の情報を厚生労働省のウェブサイト(※2)などで確認しましょう。

虚偽の労働条件

応募者を集める目的で、事実と異なる労働条件を記載することは職業安定法で固く禁じられています。たとえば「残業月平均5時間」と記載しているにもかかわらず、実際には恒常的に月40時間の残業がある、といったケースが該当します。虚偽の記載は、採用後のトラブルや早期離職の大きな原因となり、企業の評判を著しく低下させます。罰則の対象となる可能性もあるため、給与・休日・業務内容など、すべての項目において正確な情報を記載しましょう。

国籍や人種を差別する内容

職業安定法では、人種・国籍・信条・社会的身分などを理由として、採用選考で差別的な取り扱いをすることがない旨を定めています。そのため、求人票に「日本人限定」「外国籍の方は応募不可」といった国籍を特定・制限するような記載はできません。業務上、特定の言語能力が必要な場合は、「ビジネスレベルの日本語能力」のように、国籍ではなくスキルとして要件を記載しましょう。多様な人材が活躍できる企業であることを示すためにも、差別的な表現は避けるべきです。

身体的特徴や、心身の障害の有無で制限する内容

身長・体重・容姿など、本人の適性や能力とは無関係な事柄を応募の条件に含めることは、男女雇用機会均等法の定めから不適切です。「容姿端麗な方」のような表現は、外見で採否を判断することを示唆するため、使用してはいけません。また、心身の障害を理由に応募を制限したり、採用を拒否したりすることも障害者雇用促進法で禁止されています。特定の身体能力が必要な場合は、「20kg程度の荷物を運搬する作業があるため、相応の体力を要します」のように、客観的な事実として業務内容を説明しましょう。

魅力的な求人票を書く8つのポイント

ここからは、魅力的な求人票を書くポイントとして、以下の8つを解説します。

(1)仕事内容をイメージしやすいキャッチコピーをつける
(2)業務内容をわかりやすく記載する
(3)社風の紹介を含める
(4)求める人物像を明確にする
(5)競合他社の労働条件をリサーチする
(6)キャリアパスの例を挙げる
(7)情報の取捨選択を行う
(8)専門用語を多用しない

上記のポイントを実践することで、自社の独自性や魅力を伝えられる求人票を書くことができます。求人票を書く前に、ぜひ参考にしましょう。

仕事内容をイメージしやすいキャッチコピーをつける

求人媒体によっては、求人のタイトルとしてキャッチコピーをつける場合があります。キャッチコピーは、数多くある求人の中から自社の求人を見つけてもらうための重要な「フック」の役割を担います。「残業月10h以下/フルリモート可のWebデザイナー」のように、具体的なメリットを提示することが効果的です。仕事内容・得られるスキル・働き方の魅力などを凝縮することで、ターゲットとする求職者が興味を持ち、求人票を見てもらいやすくなります。

業務内容をわかりやすく記載する

求職者が最も重視する項目の一つが、入社後に担当する具体的な仕事内容です。「営業職」「事務職」とだけ記載するのではなく、商材や求められるスキルにも触れ、働く姿をイメージできるように具体的に記載しましょう。業務内容がわかりやすいと、求職者も応募するかどうかの判断がしやすくなります。

【記載例】
美容室・エステサロンといった美容業界向けリネンタオルレンタルの提案営業を行っていただきます。既存顧客を1日5〜8件程度訪問します。お客様の現状や課題をしっかりお伺いできれば、特別な営業スキルは必要ありません。

社風の紹介を含める

給与や業務内容だけでなく、職場の雰囲気を重視する求職者も多いです。社風の紹介があると、求職者が働きやすいかどうかの判断がしやすくなります。「風通しが良い」といった抽象的な言葉ではなく、具体的な制度やエピソードを交えて紹介しましょう。「月1回の1on1で上司とキャリア相談ができる」「Slackに雑談チャンネルがあり部署を超えた交流が盛ん」など、具体的な情景が浮かぶように書くことをおすすめします。長すぎると求人票の記載量が多くなるため、できるだけ簡潔に書きましょう。

求める人物像を明確にする

どのような人に来てほしいのか、スキル・経験・志向性の3つの観点から具体的に言語化しましょう。スキルや経験は「必須条件」と「歓迎条件」にわけて記載すると、応募のハードルがわかりやすくなり、幅広い層にアプローチすることができます。求める人物像については「新しい知識を学ぶことに貪欲な方」「チームの成功を自分のことのように喜べる方」など、自社の価値観に合いそうな人柄を記載します。求める人物像を明確にすることは、採用のミスマッチを防ぎ、入社後の定着率向上にも直結します。

競合他社の労働条件をリサーチする

求職者は複数の企業を比較検討しているため、競合他社の求人票をリサーチし、給与水準・休日数・手当の種類などを確認することは大切です。他社より劣っている部分がある場合は、待遇の見直しを検討しましょう。どうしても待遇を改善できそうにない場合は、求人票の中で理由を補足したり、ほかの部分で魅力を伝える必要があります。

キャリアパスの例を挙げる

入社後のキャリアパスがわかると、どのような経験を積めるのかを求職者がイメージしやすくなります。「入社後はOJTで基礎を学び、3年目にはチームリーダーとして後輩育成にも挑戦できます」「専門性を高め、技術スペシャリストとして活躍する道もあります」など、将来像を示しましょう。研修制度や評価制度と関連付けて説明することで、社員の成長を後押しする環境であることを具体的にアピールすることができます。

情報の取捨選択を行う

求人票では、無限に自社の紹介をできるわけではありません。枠の大きさやスペースの都合上、基本的に文字数は限られます。前述したポイントの内容をすべて盛り込むことが理想ですが、文字数の関係で難しい場合は、特にアピールしたいポイントは何かを考えます。社風・福利厚生・キャリアパスなどさまざまな要素の中で優先順位をつけると、何を求人票に記載するべきか見えやすくなります。

専門用語を多用しない

特定の業界でのみ用いられる専門用語を求人票に盛り込むと、応募者は内容を理解しづらくなってしまいます。業界に精通していない人でも理解できる文章を心掛けましょう。とくに業務内容を説明する際は、専門用語を使ってしまいがちであるため注意が必要です。求人票を一通り作成したら、まわりの人にも読んでもらい、一般の人が理解できるかをチェックすることをおすすめします。

まとめ:求人票の書き方を知り、求職者に自社の魅力を伝えよう

本記事では、求人票に記載すべき必須項目や禁止されている内容、魅力的な書き方のコツなどを解説しました。求人票は、企業と求職者を結ぶ最初のコミュニケーションであり、採用活動の成功を左右する重要なツールです。本記事で解説したように、法律で定められた項目や禁止事項を遵守した上で、業務内容や求める人物像を具体的に記載しましょう。競合を意識しつつ、社風やキャリアパスといった自社ならではの魅力を加えると、より求職者の興味を惹きやすくなります。本記事を参考に求人票の書き方を身に付けて、自社にマッチした人材を採用しましょう。もし、自分で求人票を書くのが難しいと感じる場合は、求人広告の作成を請け負う北海道アルバイト情報社にお気軽にご相談ください。

(※1)厚生労働省 求人票に最低限記載するべき項目
(※2)厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧

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山本アイコン

Writer

ヒトキタ編集部 山本祥子


Profile

コンテンツメディア部にてユーザー向け施策の企画・サイト運営に従事。フリーペーパー編集などを手掛け、現在は広報・販促・営業支援・デザインを行う。