採用活動において、応募者の名前や履歴書を収集するのは避けて通れない道。ですが個人情報保護法第17条で個人情報の利用目的をできるだけ特定することが求められている上に、2022年10月の職業安定法改正により、こうした個人情報の利用目的を明示することが企業に義務づけられています。
この記事では、明示義務のある個人情報の利用目的について、どのように明示すればよいか具体例を交えて解説します。また、そもそも集めてはいけない個人情報についてもお伝えします。
個人情報の利用目的を伝える具体的方法
採用活動で収集した個人情報の利用目的の明示はできるだけ具体的に行うことが重要です。
企業の誠実さが伝わるように、次の4つの対応例を参考にしてみてください。
- 自社のWebサイトや求人ページがある場合
- 電話応募に対応する場合
- 郵送やWebでの応募に対応する場合
- 面接時
それでは4つのケースについて解説します。
1.自社のWebサイトや求人ページがある場合
自社Webサイトや求人ページの見つけやすい位置に「個人情報の利用目的」を明示しましょう。例えば、「面接日時の連絡のために利用します」「募集告知に関するメールマガジンを配信するために使用します」など、用途を具体的に記載して、プライバシーへの配慮を行います。
2.電話応募に対応する場合
応募者からの電話応募時には、「今回いただいたお名前や連絡先は面接日程の連絡にのみ利用します」というように、使用目的を詳しく説明すると、応募者に安心感を与えられます。
3.郵送やWebでの応募に対応する場合
郵送やWeb応募の際には、応募要項や応募ページに「ご提供いただいた個人情報は、面接日程の調整および選考結果のご連絡のみに利用します」と記載しましょう。「採用目的以外で使用することは一切ありません」と付け加えるのも応募者の不安を和らげられます。
4.面接時
面接で履歴書やその他の個人情報書類を受け取る際には、「この情報は選考のための判断および結果通知にのみ使用します」と具体的に伝えます。もし不採用の連絡をする際には、履歴書を返却するのか・破棄するのかをきちんと伝えるなどの対応も求められます。
「そもそも集めてはいけない個人情報」にも要注意!
職業安定法の指針では、人種や信条、労働組合の加入状況などは、特別な理由がない限り収集を避けるべきとされています。
以下の要配慮個人情報は、職務に直接関係する場合を除き、原則として収集を避けましょう。
- 人種、信条
- 社会的身分
- 病歴、健康診断結果
- 障害の有無
- 犯罪歴 など
これらの情報を誤って収集してしまわないようにするには以下の方法が有効です。
1.指定の履歴書フォーマット
企業が特定の履歴書フォーマットを指定する場合、「宗教」や「出身地」などの項目が含まれていないものを指定することで、採用選考に関係の無い情報の収集を防げます。
2.面接での質問に注意
「本籍地」や「家族構成」などを尋ねることで、結果的に収集を避けるべき情報が得られるリスクがあるため、質問内容を事前にチェックしておきましょう。面接担当者には、「仕事に必要な能力や適性のみに焦点を当てて質問する」ことをあらかじめ周知するのがポイントです。
3.会社の名誉・信用を毀損するおそれがある場合
副業の内容が、社会的に不適切であったり、企業のブランドイメージや信頼を著しく損なうような場合です。例えば、公序良俗に反するような活動や、会社の社会的責任を問われるような行為がこれにあたります。社員の副業が会社の顔として見なされる可能性があるため、慎重な判断が求められます。
4.プライバシーポリシーを明確にする
自社のプライバシーポリシーに「採用プロセスでは収集しない情報」について明示しておくと、応募者に対して安心感を提供できるとともに、情報管理の姿勢を明確にできます。
まとめ:適切な情報管理が企業の評価に!
SNSなどでの情報共有が簡単にできる今の時代、企業が適切な情報管理をしているかどうかは、応募者や顧客からの評価を左右することも。個人情報の利用目的を明示することは、求職者に「安心して応募できる企業」という印象を与えるだけでなく、企業の信頼性や社会的責任を果たしているという証明にもなります。ぜひこの記事を参考に

Writer
ヒトキタ編集部 小林陽可
Profile
求人営業部での法人営業を経験した後、WEB記事のライティングや自治体への移住施策企画のディレクション等に従事。現在は広報業務・営業支援を行う。