応募者への不採用通知は、企業イメージを左右する重要な連絡です。特に不採用通知はメールで行う場合が多く、「どのように書けばいいか分からない」「失礼なく伝えたい」と悩む採用担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、書類選考や面接で不合格となった応募者へ送る不採用メールの重要性、書き方のポイント、ケースごとの例文を詳しく解説します。ぜひ、今後の採用活動の参考にしてください。
目次
不採用メールの重要性
応募者へ送る不採用メールは、応募者との最後のコミュニケーションです。ここで対応を誤ると、最悪の場合SNSなどでマイナスの風評が広がり、トラブルに発展してしまうなど、企業ブランドイメージを左右する重要な連絡です。
また、不採用となった応募者は、将来的に顧客や取引先となる可能性もありますし、別の機会に再応募するケースも考えられます。もし不採用メールの文面や対応が不適切であれば、応募者は企業に対して悪い印象を抱き、今後の関係性に悪影響を及ぼしかねません。採用に関わる全ての対応は「丁寧に」が鉄則ですが、不採用メールにおいても、常に丁寧で配慮の行き届いた対応が求められます。
不採用メールの書き方 5ステップ
ここからは、不採用メールの書き方を5つのステップに分けて解説します。
- 件名と宛名を記載する
- 冒頭に挨拶と謝意の文章を記載する
- 選考結果を記載する
- 応募書類の取り扱いについて
- 結びの言葉と署名
各ステップのポイントを押さえることで、応募者に寄り添った丁寧で分かりやすい不採用メールを作成できます。
1.件名と宛名を記載する
不採用メールの件名は、応募者が内容を一目で理解できるよう「【株式会社〇〇】選考結果のご連絡」のように記載しましょう。多くのメールを受け取る応募者にとって、「どの会社からの連絡か」「連絡の内容」が瞬時にわかることが重要です。
また、本文の冒頭に記載する宛名は「〇〇 〇〇様」のように、応募者の氏名をフルネームで記載し、末尾に「様」をつけます。宛名の間違いは厳禁です。送信前に必ず見直し、誤りがないか確認しましょう。
2.冒頭に挨拶と謝意の文章を記載する
メール本文の冒頭では、まず自社の正式名称と採用担当者名を名乗りましょう。そのうえで、数ある企業の中から当社を選び、応募してくださったことへの感謝の気持ちを伝えます。
【冒頭部の例文】
▲▲▲▲様
株式会社●●●●採用担当●●●●と申します。
このたびは、当社の求人にご応募いただき、誠にありがとうございました。
【面接を実施した場合の冒頭部の例文】
▲▲▲▲様
株式会社●●●●採用担当●●●●と申します。
このたびは、当社の求人にご応募いただき、誠にありがとうございました。
また、先日はお忙しい中、面接のお時間をいただき、ありがとうございました。
このように感謝の言葉を伝えることで、応募者一人ひとりに真摯に向き合っている誠実な姿勢を示すことができます。
3.選考結果を記載する
冒頭部を記載したら、次に選考結果を明確かつ丁寧に伝えましょう。応募者が誤解することなく、スムーズに結果を理解できるよう配慮が必要です。
【選考結果の例文】
誠に残念ながら、慎重に選考いたしました結果、今回は採用を見送らせていただくこととなりました。
不採用の具体的な理由については、応募者との間にトラブルが発生する可能性があるため、記載しないのが一般的です。「厳正なる選考の結果」といった表現に留め、シンプルに伝えるのが無難です。
4.応募書類の取り扱いについて
選考結果を提示した後は、応募時に提出された履歴書や職務経歴書など、個人情報を含む書類の取り扱いについて明確に記載しましょう。
【郵送で返却する場合】
ご提出いただいた応募書類は、後日郵送にて返却いたします。
【書類を返却せず社内で破棄する場合】
お預かりした応募書類は、弊社規定に基づき責任をもって破棄させていただきます。
応募書類の適切な取り扱い方法を伝えることは、企業の個人情報保護に対する姿勢を示し、応募者からの信頼性を高めることにつながります。不採用メールの後半で必ず記載するようにしましょう。
5.結びの言葉と署名
メールの最後には、応募者の今後の活躍を心から願う言葉を添えて締めくくりましょう。
【結びの言葉の例文】
末筆ではございますが、〇〇様(貴殿)の今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
このような結びの言葉があることで、事務的な通知に留まらず、温かみのある丁寧な印象を与えられます。最後に、会社名、部署名、担当者名、住所、電話番号などを署名として記載し、応募者からの問い合わせにスムーズに対応できるようにしておきましょう。
ケース別!不採用メールの例文
ここからは、ケース毎に不採用メールの例文をご紹介します。不採用メールの書き方にお困りの採用担当者様は、ぜひ参考にしてみてください。
各テンプレートはコピーして使えますが、会社名や応募者の名前、採用担当者の部分は状況に応じて入力が必要です。修正漏れや入力ミスがないように十分注意してご活用ください。
書類選考における不採用メールの例文(書類を返却する場合)
タイトル:書類選考結果に関しまして【株式会社●●●●】
本文:
▲▲▲▲様
株式会社●●●●採用担当●●●●と申します。
このたびは、当社の求人にご応募いただき、誠にありがとうございました。
さて、ご提出いただいた履歴書を拝見し、慎重に検討いたしました結果、
誠に残念ながら、今回は採用を見送らせていただくこととなりました。
何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
▲▲▲▲様のより一層のご健康とご活躍を心よりお祈り申し上げます。
なお、お預かりしました応募書類につきましては、履歴書記載のご住所宛に後日郵送にて返却いたします。
略儀ではございますが、メールにてご通知申し上げます。
面接後の不採用メールの例文(書類を返却する場合)
件名:選考結果のご連絡【株式会社●●●●】
本文:
▲▲▲▲様
株式会社●●●●採用担当●●●●と申します。
このたびは、当社の求人にご応募いただきありがとうございました。
また、先日はお忙しい中、面接のお時間をいただき、重ねてお礼申し上げます。
さて、選考の結果についてですが、厳正なる選考の結果、誠に残念ではございますが、今回はご希望に沿えない結果となりました。
何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
なお、お預かりした応募書類につきましては、履歴書記載のご住所宛に郵送にて返却いたします。
末筆になりますが、▲▲▲▲様の今後一層のご活躍をお祈り申し上げます。
面接後の不採用メールの例文(書類を返却しない場合)
件名:選考結果のご連絡【株式会社●●●●】
本文:
▲▲▲▲様
株式会社●●●●採用担当●●●●と申します。
このたびは、弊社求人へご応募いただきまして、誠にありがとうございました。
また、先日はお忙しい中、面接にお越しいただき、重ねてお礼申し上げます。
さて、選考結果につきまして、社内で厳正なる選考を行いましたが、誠に残念ながら、今回はご希望に添えない結果となりました。ご期待に添えず申し訳ございませんが、ご了承ください。
なお、ご提出いただいた応募書類につきましては、弊社にて責任を持って破棄いたします。
末筆になりますが、▲▲▲▲様の今後一層のご活躍をお祈り申し上げます。
不採用メールを送る際の4つの注意点
ここからは、不採用メールを送る際の4つの注意点を解説します。
- 選考結果が決まったら迅速に送信する
- 「連絡なし」は厳禁
- 応募書類は可能な限り返却する
- 再選考の可能性がある場合は明記する
1.選考結果が決まったら迅速に連絡する
採用・不採用に関わらず、選考結果が確定したら、迅速に連絡を行うのがベストです。連絡が遅れると、応募者は「待たされている」と感じ、不満や不信感を抱く可能性があります。また、他の企業の選考を保留にしている場合もあり、応募者の転職活動に支障をきたす恐れもあります。選考結果は、書類選考や面接から遅くても1週間以内に送るのが目安です。書類選考や面接の際には、何日以内に選考結果を送るかを応募者に伝えておくと、より丁寧な印象を与えられます。
選考結果の連絡について伝える例
「採用通知ですが、確定次第電話でご連絡します。明日の夕方までにはお伝えできると思います。残念ながら不採用の場合は郵送での連絡になります。郵便事情にもよりますが、明日午後の発送ですので水曜日には手元に届くと思います」
2.「連絡しない」は厳禁
いわゆる「サイレントお祈り」と呼ばれている、不採用の連絡をしないことは、応募者に対して大変失礼な行為であるだけでなく企業のイメージが損なわれ、今後の採用活動が難航するリスクもあります。たとえ不採用であっても必ず連絡を行い、応募者に対する誠実な姿勢を示すことが非常に重要です。
3.応募書類は可能な限り返却する
履歴書や職務経歴書は最高ランクの個人情報で、返却するのが大原則です。郵送返却が原則ですが、何十人と多数の応募が予想され事務的に対応できない場合もあります。そういった場合は可能な限り求人広告の段階で明記し、さらに面接の時にも念押しの説明を行い、必ずシュレッダーで破砕処理を行います。シュレッダーを使わずに破棄すると、個人情報漏洩のリスクを伴い、企業の信用を失墜させる原因となるため厳重な注意が必要です。
【求人広告での表記例】
「応募書類は返却いたしませんので、ご了承ください」
【面接時の説明】
「求人広告にも明記しましたが、もしも不採用の場合は履歴書は返却いたしませんのでご承知ください。その場合は当方で責任をもってシュレッダーで処理します。ご安心ください」
4.再選考の可能性がある場合は明記する
今回採用には至らなかったものの、優秀な応募者の情報をデータベース化し、将来の採用候補者として関係を維持する採用手法をタレントプールといいます。もし今回不採用だった方でも、将来的に欠員補充などで再度声をかけたい場合は、その可能性を不採用メールに記載しましょう。
具体的には、結びの言葉の前に「今後、追加の採用枠が生じた際に、再度お声がけさせていただいてもよろしいでしょうか」といった文を添えます。応募者の意向を尋ねる形で記載すると、より丁寧な印象になります。ただし、安易に期待を持たせることのないよう、本当に将来的な採用の可能性がある場合にのみ記載するようにしましょう。
不採用メールに関するよくある質問
ここでは、不採用メールに関するよくある質問とその回答を紹介します。これらの質問と回答を確認することで、不採用メール作成における細かな留意点を把握できるでしょう。採用担当者の方は、ぜひ一度目を通してみてください。
Q.不採用通知をメールで行う理由は?
A.不採用通知をメールで行う最大の理由は、連絡内容がデリケートであるためです。電話だと「どうしてですか?」「なにが悪かったんですか?」などの質問も予想され、細心の気遣いが要求されます。ちょっとした言い回しで「カド」を立てないためにも、事前に文面を練ることができるメール、または書面での通知が無難です。不採用の詳細な理由を伝える必要はありません。
不採用の理由を聞かれたら? 適切な対応方法とリスク
不採用の理由を聞かれた場合の適切な対応方法とリスクについて解説している記事も併せてご覧ください。
Q.アルバイトを募集した際の不採用メールの書き方は?
A.アルバイト募集における不採用メールの書き方も、正社員の選考と基本的に変わりありません。前述の「不採用メールの書き方」で解説した以下の構成で作成すれば問題ないでしょう。
- 不採用メールの件名と宛名
- 応募への感謝と面接のお礼
- 選考結果の通知
- 応募書類の取り扱いについて
- 結びの言葉と署名
アルバイトの応募者も、企業のサービスを利用する顧客になる可能性があります。自社に対して悪いイメージを持たれないよう、他の応募者と同様に丁寧な文面を心がけましょう。
まとめ:不採用メールは丁寧な文面で、企業イメージを守る
この記事では、不採用メールの重要性や書き方、ケースごとの例文などを解説しました。不採用メールは単なる事務連絡ではなく、応募者に対する企業の姿勢を示すものです。これを雑に作成してしまうと、応募者の印象が悪くなり、企業イメージがダウンする可能性があります。今後の採用活動に悪影響が出ないよう、不採用メールも丁寧に作成し、常に良好な企業イメージを保つことを心がけましょう。

Writer
ヒトキタ編集部 小林陽可
Profile
求人営業部での法人営業を経験した後、WEB記事のライティングや自治体への移住施策企画のディレクション等に従事。現在は広報業務・営業支援を行う。