ひょっとして法律違反かも?「もう締め切った・決まった」の断り文句。その危険性と正しい対応

採用活動において、求める人物像とマッチしない応募者に対し、角を立てずにお断りするために「すでに採用が決まってしまいまして…」「応募を締め切りました」と伝えていませんか?

相手を傷つけないための「便利な断り文句」として使われることがありますが、法律違反となる大きなリスクをはらんでいます。

この記事では、事実と異なる「もう決まった」という断り文句に潜むリスクと、募集終了時や選考時の正しい対応・断り方について解説します。

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目次

なぜ「もう決まりました」の断り文句が危険なのか?

募集を継続しているにもかかわらず「もう決まった」と嘘の理由で断る行為には、大きく分けて2つの重大なリスクがあります。

リスク1:「職業安定法」違反とみなされる恐れがある

現在、「職業安定法」では、「求人情報を正確かつ最新に保つこと」が求められています。令和4年(2022年)の法改正に伴う指針により、求人企業に対して具体的に以下のような対応が求められるようになりました。

  • 求人の募集を終了した場合や、求人内容に変更があった場合は、速やかに求人メディア等へ通知し、掲載の終了や内容の更新を行うこと

  • いつ時点の求人情報であるかを明示すること

つまり、「もう決まった」と応募者に言いながら、実際には求人広告を掲載し続けている状態は、「最新かつ正確な情報を提供していない」ことになります。これは職業安定法の趣旨に反しており、法的なトラブルや行政指導の対象となる恐れがあります。

リスク2:SNSでの拡散や採用ブランドの低下(炎上リスク)

法律面だけでなく、自社の採用ブランド(企業イメージ)にも深刻なダメージを与えかねません。

求職者が「すでに採用が決まった」と伝えられた後も同じ求人広告が掲載され続けているのを発見した場合や、一旦取り下げられた直後に再掲載されているのを見た場合、「虚偽の理由で断られた」「採用する気のないカラ求人だ」といった不信感を抱かせる原因となります。

現代では、こうした不満がSNSや企業の口コミサイトに投稿されるケースが少なくありません。一度ネット上に「誠実ではない対応をする企業」という情報が残ると、今後の採用活動においてマイナスプロモーションとなってしまいます。

募集を終了する際の「正しい対応ステップ」

もし、本当に「採用が決定した」などの理由で募集を終了する場合は、以下のステップで速やかに対応しましょう。

ステップ1:求人広告の速やかな取り下げ

募集を終了した時点で、すぐに求人メディアの担当者へ連絡し、掲載の停止・取り下げを依頼してください。自社採用サイト(オウンドメディア)の求人ページを「募集終了」のステータスに変更するほか、SNSなど自社で求人について発信しているメディアがあれば、該当の投稿を削除・更新するなどの対応も忘れずに行いましょう。

ステップ2:応募者へ事実を丁寧に伝える

求人を取り下げたタイミングと前後して応募があった場合は、事実を誠実にお伝えします。

【例文】実際に応募を締め切った場合の断り方

  • 「ご応募ありがとうございます。大変申し訳ありませんが、今回の募集はすでに最終選考に進んでおり(または採用枠が埋まり)、募集を終了させていただきました。また別の機会にご応募いただけますと幸いです。」
  • 「ご応募いただき、心より感謝いたします。今回の募集ポジションに関しては社内状況に変更があり、現在求人広告の取り下げ・更新を予定しております。次回の募集機会がございましたら、ぜひ再度ご応募ください。」

このように、「シンプルに事実を伝えること」と「応募してくれたことへの感謝」をセットにすることが重要です。求職者も「今回はタイミングが合わなかっただけだ。次の機会があれば応募しよう」と前向きに受け止めてくれやすくなります。

<コラム>現場と採用部門での連携フローが重要

「募集終了」の判断が遅れるのは、採用担当者と現場の責任者(マネージャー)との情報共有の遅れも原因の一つです。不誠実な対応を避けるためには、現場と採用担当者との間で、随時、または週次などで採用状況確認のミーティングを行うといった、社内運用ルールを取り決めるとよいでしょう。

注意!求人票に記載のない条件で断るのもNG

「もう決まった」という断り文句だけでなく、求人広告に記載していない条件を後出しして断ることにも注意が必要です。

例えば「未経験者OK」と書きながら「やはり経験者しか採用しないので」と断るようなケースです。これらは職業安定法における「虚偽の表示」や「正確ではない情報」とみなされ、トラブルの元となり、掲載内容の是正を求められる恐れがあります。

さらに、年齢や性別を理由にお断りすることは、別の法律に抵触する恐れがあります。原則として、募集・採用における年齢制限は「労働施策総合推進法」で(例外は除く)、性別による制限は「男女雇用機会均等法」で禁止されています。求人票に記載してしまうことはもちろんのこと、後出しの理由としてこれらを持ち出して断ることは大変危険です。

求める人物像に合わない応募者を断る場合は、嘘の理由や後出しの条件を使うのではなく、通常の選考フローに則りしっかりと見極めた上で、「慎重に選考を重ねた結果、今回はご希望に添いかねる結果となりました」と、一般的な不採用の連絡を誠実に行うのが正しい対応です。

※関連記事: 【テンプレ付き】不採用メールの書き方を徹底解説。

まとめ:誠実な対応が「良い採用」を生む

  • 「もう決まった」「締め切った」が事実でない場合、角を立てないための断り文句として使うのは絶対に避けましょう。

  • 本当に募集を終了する際は、求人メディアや自社サイトからすぐに求人を取り下げましょう。

  • 応募条件に合わない場合も、嘘をつかず、誠実に選考を行い、結果として伝えましょう。

ご縁がなかった方であっても、将来のお客様になる可能性や、スキルアップして再度応募してくれる可能性もあります。 適切な対応でトラブルを回避し、自社のファンを増やすような誠実な採用活動を実現しましょう。

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Writer

ヒトキタ編集部 小林陽可


Profile

求人営業部での法人営業を経験した後、WEB記事のライティングや自治体への移住施策企画のディレクション等に従事。現在は広報業務・営業支援を行う。