外国人留学生のアルバイト雇用の注意点とは?28時間の時間制限についても解説

1人当たりの採用単価の平均相場はどのくらい?計算方法から削減施策まで徹底解説

人手不足が深刻化する中、外国人留学生をアルバイトとして受け入れる企業が増えています。しかし、日本人を雇用する場合とは異なる法的なルールが存在し、手続きを誤ると企業側も厳しい罰則を受けるリスクがあるので、注意が必要です。

本記事では、採用担当者が必ず知っておくべき実務知識と、面接時に確認すべきポイントを徹底解説します。

留学生をアルバイトで雇用する前に確認すべき3つの必須要件

採用面接の際、「日本語でのコミュニケーション能力」や「シフトの希望」にばかり目が行きがちですが、最も重要なのは「法的に就労可能な状態であるか」の確認です。

導入・雇用前に必ず確認すべきは、以下の3点です。

  • 「在留カード」の確認
  • 「資格外活動許可」の有無
  • 「在留期限」の有効性

具体的に「どこを見れば良いか分からない」という不安を解消するため、在留カードの確認箇所を解説します。以下の3点をクリアしていなければ、いかに優秀な人材であっても、その場での採用は見送るべきです。

1.在留カード表面で「在留資格:留学」と「在留期限」を確認 

まずは、応募者本人の在留カードの「表面」を確認します。

在留資格の確認:表面の中央付近にある「在留資格」の欄に、「留学」と記載されているかを確認します。

在留期限の確認:表面の下部にある「在留期間(満了日)」を確認し、期限が切れていないかをチェックします。

【要注意:在留期限が3カ月以内に迫っている場合】

在留期間満了日が3カ月以内に迫っている場合は、「更新の手続きは行っているか(または予定しているか)」を必ず確認してください。期限切れの状態で1日でも働かせてしまうと、不法就労となります。「期限管理は企業の責任」であることを強く認識し、採用した場合は更新後の新しい在留カードを必ず再提出させる旨を伝えてください。

2.在留カード裏面で「資格外活動許可」の記載を確認

「留学」の在留資格は、あくまで「日本で教育を受けること」を目的としたものです。そのため、原則として働くことはできません。アルバイトをするためには、法務大臣から「資格外活動許可」を得ている必要があります。

在留カードの「裏面」下部にある「資格外活動許可欄」を確認してください。ここに「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」という黒い印字があれば、就労可能です。

この記載がない場合、応募者は働くことができません。「資格外活動許可を取得してから、改めてご応募ください」と伝え、一旦採用を見送りましょう。なお、この許可は一度取得すれば、アルバイト先が変わっても(転職しても)有効です。

3.在留カードの真偽確認(偽造カードのリスク回避)

近年、精巧な偽造在留カードが出回っており、社会問題化しています。企業側が「知らずに偽造カードを信じて雇用してしまった」場合でも、不法就労助長罪に問われるリスクがあります。

このリスクを回避するため、出入国在留管理庁が提供している「在留カード等番号失効情報照会」サイトでの確認を強く推奨します。

●参考:出入国在留管理庁・在留カード等番号失効情報照会

カード表面の右上にある「在留カード番号」と「有効期間」を入力するだけで、そのカードが有効なものかを瞬時に判定できます。面接時にその場でスマートフォンやPCを使って確認するのが最も確実です。

また、簡易的な見分け方として、在留カードにはICチップが内蔵されているか、ホログラム(傾けると絵柄が変わる)が正常に機能しているかを目視で確認し、必ず表と裏の両方のコピーを保管するようにしてください。

留学生アルバイト雇用で絶対に守るべき4つのルール

留学生をアルバイトとして雇用する際、企業が遵守しなければならない4つの厳格な法的ルールがあります。

  1. 労働時間は週28時間以内:他のアルバイトとの「掛け持ち」をしている場合、すべてのアルバイトの合算で週28時間以内に収める必要があります。
  2. 長期休暇中のみ週40時間まで可能:学校が定める夏休み・冬休みなどの長期休暇期間中に限り、1日8時間、週40時間までの労働が認められます(学校の学年歴などで証明が必要)。
  3. 風俗営業関連での雇用は絶対禁止:キャバクラ、ホストクラブだけでなく、パチンコ店、麻雀店、ゲームセンター、ラブホテルなどでの勤務は禁止されています。客の接待をしない清掃や皿洗いなどの裏方業務であっても、該当店舗での勤務自体が違法です。
  4. ハローワークへの届出義務:外国人(特別永住者を除く)を雇用する際、および離職する際には、「外国人雇用状況の届出」をハローワークへ提出することが義務付けられています。

【違反時の厳しいペナルティ】

これらのルールに違反した場合、企業側には「不法就労助長罪」として3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります。また、留学生自身も在留資格の取り消しや強制退去(強制送還)となり、彼らの人生を大きく狂わせることになります。

なぜ「週28時間」? 人事担当者が知っておくべき制限の理由と正しい計算方法

留学生の雇用において絶対に守るべき「週28時間以内」というルール。「なぜ28時間なのか?」「具体的にどう計算すればいいのか?」ここでは、不法就労を防ぐための正しい知識を解説します。

そもそも、なぜ「28時間」の制限があるのか?

留学生の本来の在留目的は、あくまで日本の学校で「教育を受けること(学業)」です。アルバイト(資格外活動)は、学費や生活費を補うための付随的な活動として特別に許可されているに過ぎません。

もし制限なく働けてしまうと、学業に支障をきたし、本来の在留目的から逸脱してしまいます。そのため、「学業を妨げない範囲」の目安として、1日当たり平均4時間×7日間=「週28時間」という上限が法務省(出入国在留管理庁)によって定められています。

※出典:出入国在留管理庁「資格外活動許可について」

実務で要注意!「週28時間」の正しい計算方法

人事担当者が最も陥りやすい落とし穴が、この「週」の解釈です。

自社の給与計算の締め日に合わせて、「日曜日から土曜日までで28時間以内に収まっているから問題ない」と判断していませんか?実は、この計算方法はNG(法律違反)となる可能性があります。

入管法における「週28時間以内」とは、特定の曜日から起算するのではなく、「任意の連続する7日間、どの曜日から起算しても常に週28時間以内に収まっていなければならない」という厳しいルールになっています。

【NGとなるシフトの例】

  • 月〜水:休み

  • 木〜土:各8時間(計24時間)

  • 日〜火:各8時間(計24時間)

  • 水〜土:休み

この場合、「日〜土」の暦週で見ると毎週24時間労働となり、一見28時間以内に収まっているように見えます。しかし、「木曜日から翌週の水曜日」までの連続する7日間で切り取って計算すると、「木・金・土・日・月・火」の6日間連続で8時間勤務をしており、合計48時間となってしまいます。これは明確な法律違反(不法就労)です。

労働時間の計算に含まれるもの・掛け持ちの注意点

「週28時間」には、以下の時間もすべて含めて計算しなければなりません。

1. 残業時間(時間外労働)

シフト上の予定労働時間だけでなく、突発的な残業や遅延によって発生した実際の労働時間もすべて28時間の中に含める必要があります。

2.複数アルバイトの合算時間

前述の通り、自社と他社の労働時間を「合算」して28時間以内にする必要があります。「自社で15時間、他社で15時間」という働き方は合算で30時間となり、両方の企業が不法就労助長罪に問われるリスクがあります。

【人事担当者様へのお願い】

留学生のシフトを作成する際は、単一の週だけでなく「前後の週とまたがった7日間」で労働時間が突出していないかを確認する仕組みが必要です。また、残業が発生して28時間を超えそうになった場合は、直ちに業務を切り上げさせるなどの徹底した労務管理が求められます。

留学生アルバイトの労働条件(日本人と同じ法律が適用)

外国人留学生であっても、日本国内で労働基準法上の「労働者」として働く以上、日本人と全く同じ労働法令が適用されます。「外国人だから、留学生だから安く雇える」といった認識は大きな誤りであり、国籍を理由とした賃金差別や待遇の差別は労働基準法第3条で明確に禁止されています。

最低賃金法と労働条件通知書の交付義務

  • 最低賃金の遵守勤務地の都道府県が定める「地域別最低賃金」以上の時給を支払う義務があります。研修期間であっても最低賃金を下回ることはできません。
  • 労働条件通知書の交付:雇用開始前に、賃金、労働時間、休日、退職に関する事項などを記載した「雇用契約書」または「労働条件通知書」を書面で交付する義務があります(労働基準法第15条)。交付を怠ると30万円以下の罰金対象となります。日本語が十分に理解できない留学生の場合は、母国語や英語を併記するなどの配慮が望ましいです。

社会保険の加入義務に関する注意点

一般的なアルバイトの場合、「週20時間以上勤務で雇用保険の対象」「週30時間以上(または要件を満たす週20時間以上)で健康保険・厚生年金の対象」となります。加入手続きを怠ると事業主に罰則があり、保険料の事業主負担も発生します。

【重要:留学生(昼間学生)の特例について】

ただし、留学生の多くを占める大学や専門学校などの「昼間学生」は、原則として雇用保険および社会保険(健康保険・厚生年金)の適用除外となります。

つまり、週28時間の上限いっぱいで働いていたとしても、一般的な昼間学生であればこれらの保険には加入できません。例外として、夜間学部の学生や通信教育の学生、休学中の学生などは加入対象となるケースがあるため、面接時に「どのような学校・学部に通っているか」を正確に把握することが実務上極めて重要です。

留学生アルバイト雇用のトラブル事例と予防策

現場で実際に起こりやすい3つのトラブル事例と、その予防策を解説します。「知らなかった」では済まされないため、事前の管理体制構築が不可欠です。

トラブル①:労働時間超過(複数バイトの見落とし)

  • 事例:留学生が自社で週20時間、他社で週15時間のアルバイト(合計週35時間)をしていた。自社は他社の勤務状況を把握せずにシフトを組んでいたため、後日、入管の調査で「週28時間超過(不法就労)」が発覚した。
  • 予防策:面接時に必ず「現在、他のアルバイトをしているか」「週何時間働いているか」を確認し、記録に残します。採用後も定期的に掛け持ち状況をヒアリングし、自社と他社の合計労働時間が週28時間を超えないようにシフトを作成する管理体制が必要です。

トラブル②:在留期限・資格外活動許可の期限切れ

  • 事例:採用時には有効だった在留期限が、雇用期間中に切れていたことに気づかず働かせ続けてしまった。結果的に不法就労状態となり、企業側が行政指導を受けた。
  • 予防策:入社時に回収した在留カードのコピーをもとに、「期限管理台帳(スプレッドシートやシステム)」を作成します。期限の「3カ月前」には担当者にアラートが飛ぶ仕組みを作り、留学生本人に更新手続きの進捗を確認するフローを徹底してください。

トラブル②:賃金未払い・労働条件の不明確さ

  • 事例:採用時に時給や残業代の計算方法を口頭でしか伝えておらず、給与支払い時に「話が違う」と留学生とトラブルに。留学生が労働基準監督署に相談に駆け込み、是正勧告を受けた。
  • 予防策:前述の通り、必ず「労働条件通知書」を書面(またはPDFなどの電子データ)で交付し、双方でサインを交わします。タイムカード等で労働時間を1分単位で正確に記録し、賃金計算の根拠を透明化してください。万が一トラブルになりそうな場合は、管轄の労働基準監督署内にある「外国人労働者相談コーナー」に早期に相談しましょう。

留学生アルバイトの採用手続きフロー(チェックリスト付き)

採用決定から退職までに必要な手続きを時系列で整理しました。実務担当者様は、見落としがないようこちらのチェックリストをご活用ください。

採用決定時の確認事項(採用前チェックリスト)

これらをすべてクリアしてから採用を決定してください。一つでも欠けている場合は採用を見送るか、条件をクリア(更新等)した後に再応募してもらう必要があります。

チェック 確認項目 確認ポイント
 在留資格の確認  在留カード表面で「留学」となっているか
 在留期限の確認  期限が有効か(残り日数が少なくないか)
 資格外活動許可の確認  在留カード裏面に「許可」の印字があるか
 カードの真偽照会  出入国在留管理庁のWebサイトで番号を照会したか
 掛け持ち状況の確認  他のアルバイトとの合算で週28時間以内に収まるか
 コピーの保管  在留カードの「表面」「裏面」両方のコピーを取ったか

雇用開始時の手続き(期限と提出先)

雇用がスタートする前後に、以下の公的手続きが必要です。

※「外国人雇用状況の届出」には、氏名、在留資格、在留期間、国籍などの情報が必要です。届出を怠ると罰則の対象となります。
チェック 手続き名 期限・タイミング 提出先・交付先
 労働条件通知書の交付  雇用開始前 留学生本人へ交付 
 雇用契約書の締結 雇用開始前  企業と本人で控えを保管
外国人雇用状況の届出  雇い入れた翌月末日まで  管轄のハローワーク
 社会保険等の加入手続き  他のアルバイトとの合算で週28時間以内に収まるか  年金事務所等(※夜間学生等、該当する場合のみ)

★さらに詳しいマニュアルはこちら

雇用中の管理事項と退職時の手続き

  • 雇用中の管理:日々の勤怠管理(他社合算で週28時間以内か)と、在留期限の定期確認(3カ月前アラート)を継続します。
  • 退職時の手続き:退職時にもハローワークへの「離職の届出(翌月末日まで)」が必要です。また、源泉徴収票の交付も確実に行いましょう。なお、退職後も労働者名簿や賃金台帳などの関連書類は「3年間」の保管義務があります。

まとめ:ルールを守れば戦力に!留学生採用は「正しい知識」が成功のカギ

留学生の雇用は確認すべき法的ルールが多く、最初は戸惑うかもしれません。しかし、「週28時間の制限」「在留カードの確認」「ハローワークへの届出」といった基本ルールさえ徹底すれば、深刻な法的リスクは回避できます。

真面目で学習意欲の高い留学生は、ルールを正しく守って雇用することで、企業の強力な戦力となってくれるはずです。

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Writer

ヒトキタ編集部 友坂 智奈


Profile

法人営業や編集職を経て、広報を担当。現在は、SNSや自社サイトの運用をはじめ、イベントやメルマガを活用した販促・営業支援企画も手掛けている。