
労働人口の減少が深刻な社会問題となる中、企業にとって「いかにして優秀な人材を確保するか」は最優先課題です。その解決策のひとつとして注目されているのが、外国人を採用する際の「特定技能」制度です。
2024年3月には対象分野が拡大され、さらに2025年12月末時点での在留人数は約39万人に達するなど、普及は加速しています。
この記事では、特定技能の基本から、採用手順、コスト、そして2027年に施行される「育成就労制度」との関連性まで、人事担当者が知っておくべき知識を解説します。
目次
特定技能とは?特定技能制度の仕組みと対象16分野
なぜ特定技能が創設されたのか?深刻化する人手不足への対策
特定技能とは、国内人材の確保が困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を持つ外国人を受け入れるために2019年に創設された在留資格です。
従来の「技能実習」が国際貢献(技術移転)を目的としていたのに対し、「特定技能」は明確に「深刻な人手不足の解消」を目的としています。
現在の普及状況と今後の拡大予測
出入国在留管理庁の発表によると、特定技能の在留外国人数は右肩上がりで増加しており、2025年12月末時点で約39万人を超えています。
政府は、2024年度からの5年間で最大82万人の受け入れを見込んでおり、今後さらなる拡大が確実視されています。
受入企業に求められる基本要件
特定技能外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)には、主に以下の3つの要件が求められます。
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法令遵守:労働法、社会保険法、租税法等を遵守していること。
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報酬水準:日本人が同等の業務に従事する場合と同等以上の報酬を支払うこと。
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支援体制:外国人が円滑に生活・就労できるよう「義務的支援」を実施する体制があること(自社で行うか、登録支援機関に委託するか選択可能)。
特定技能1号と2号の違い
特定技能には「1号」と「2号」の2種類があり、在留期間や求められる技能水準が大きく異なります。
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比較項目 |
特定技能1号 |
特定技能2号 |
|---|---|---|
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技能水準 |
相当程度の知識または経験が必要 |
熟練した技能が必要 |
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入国後の在留期間 |
通算で最大5年 |
上限なし(更新により長期雇用可) |
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家族帯同 |
基本的に認められない |
認められる(配偶者・子) |
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永住申請 |
永住申請に必要な「就労経験」に含まれない |
可能。在留期間が永住許可の要件にカウントされる。 |
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日本語能力 |
生活や業務に必要なレベル(N4以上等) |
試験による確認は不要 |
【注目ポイント】 2023年の制度改正により、2号の対象分野が大幅に拡大されました。これにより、ほぼすべての分野で「1号から2号へのステップアップ」が可能となり、企業は10年、20年といった超長期的な雇用を視野に入れられるようになりました。
【コラム】介護分野には「特定技能2号」がない?
実は、全16分野の中で唯一「介護」だけは、特定技能2号の枠組みが存在しません。
その理由は、介護分野には既に在留資格「介護」という専門資格が存在するためです。特定技能1号として働く外国人が、日本の国家資格である「介護福祉士」を取得すれば、在留資格「介護」へ切り替えることができます。
在留資格「介護」は、特定技能2号と同様に「在留期間の更新上限なし」「家族の帯同可能」というメリットがあるため、介護分野におけるキャリアアップのゴールは、2号ではなく国家資格の取得となります。
受入れ可能な16の産業分野
2024年3月の閣議決定により、新たに4分野が追加され、現在は以下の16分野で受け入れが可能です。
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介護
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ビルクリーニング
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工業製品製造(素形材・産業機械・電気電子情報関連が統合)
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建設
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造船・船舶用工業
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自動車整備
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航空
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宿泊
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農業
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漁業
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飲食料品製造業
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外食業
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自動車運送業(新規)
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鉄道(新規)
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林業(新規)
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木材産業(新規)
主要分野の現状
特に「飲食料品製造」「介護」「工業製品製造」の3分野は受入数が多く、特定技能全体の過半数を占めています。まずは自社の事業内容がこれらの特定産業分野の定義に合致するかどうか、公表されている「運用要領」で確認することが第一歩です。
【重要】外食業の新規受け入れが一時停止へ(2026年4月)
2026年3月、出入国在留管理庁より「外食業分野における特定技能1号の新規受け入れを一時停止する」という異例の発表がありました。
これは、2024年度から5年間で設定されていた受入上限数(5万人)に対し、在留者数が2026年2月末時点で約4万6,000人に達し、上限到達が確実視されたためです。
2026年4月13日以降に受理される新規の申請は、原則として不交付・不許可となります。
インバウンド需要の急速な回復が背景にありますが、外食業の企業様は今後、既存の1号修了者の「2号移行」による定着を最優先としつつ、人材戦略への転換が求められています。
特定技能外国人を雇用するまでの流れ
外務省のフローチャート(外務省:特定技能制度の概要)を参考に、実務の流れを解説します。
1. 受入要件の確認と人材探し
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要件確認:過去1年間に欠格事由(不当な解雇、労働法違反など)がないか、社会保険への加入状況は適切かを確認します。
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人材確保の3ルート:
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紹介会社を利用:海外や国内の候補者をマッチング。
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技能実習からの移行:技能実習2号・3号を良好に修了した人は、試験免除で同一職種への特定技能1号へ移行可能です。
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海外招聘:現地の試験合格者を面接し、新規で呼び寄せます。
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2. 雇用契約から在留資格申請まで
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雇用契約:直接雇用かつフルタイム(日本人と同等以上の給与)が原則です。契約書や就業条件明示書は、本人が理解できる言語(母国語など)を併記する必要があります。
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支援計画の策定:1号の場合、入国前の事前ガイダンス、送迎、住居確保、日本語学習支援など「義務的支援10項目」の実施計画を作成します。
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申請手続き:出入国在留管理庁へ「在留資格認定証明書交付申請(海外から)」または「在留資格変更許可申請(国内から)」を行います。
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標準処理期間:1か月〜3か月程度
3. 就労開始後に必要な届出
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ハローワークへの届出:採用時および離職時に雇用保険の手続きと併せて行います。
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年1回の定期届出:年に1回「受入状況」「支援実施状況」「活動状況」を入管庁へ報告します。
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リスク:届出を怠ると、改善命令や、最悪の場合は今後5年間の受入停止措置を受ける可能性があるため、厳格な管理が求められます。
採用・運用にかかる費用の目安
特定技能の採用には、初期費用と月々のランニングコストが発生します。
費用は各紹介会社・支援機関のビジネスプランにより大きな差があります。おおまかな費用の目安をまとめました。
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項目 |
費用の目安 |
備考 |
|---|---|---|
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紹介手数料 |
10万円 〜 60万円 |
紹介会社へ支払う成功報酬 |
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行政書士費用 |
10万円 〜 15万円 |
在留資格申請の代行費用 |
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送り出し機関費用 |
0円 〜 30万円 |
国により、現地の送り出し機関へ支払う費用 |
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登録支援委託費 |
2万円 〜 3万円/月 |
義務的支援を外部委託する場合の月額費用 |
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初年度総額目安 |
約20万円 〜 110万円 |
人材確保ルートや渡航費負担の有無により変動 |
紹介手数料
紹介会社へ支払う手数料で、多くの企業が採用確定時に費用が発生する成功報酬型を採用しています。紹介会社によって、想定年収の10%〜35%など報酬費用に幅があります。
紹介手数料が0円、という事業者もありますが、その場合は登録支援委託費の月額費用が高くなったり、外国人材本人から多額の手数料を徴収している可能性が高い、というケースもまれにありますのでしっかり確認しましょう。
行政書士費用
出入国在留管理庁への在留資格申請を代行してもらうための費用です。特定技能の申請書類は非常に膨大で専門性が高いため、行政書士へ依頼するのが一般的です。
送り出し機関費用
海外に在住する外国人を特定技能として採用する場合、現地の送り出し機関(人材募集や事前教育を行う機関)への手数料が発生することがあります。
特に注意が必要なのは、日本政府と送り出し国との間で締結された二国間協定(MOC)により、送り出し機関の利用が義務付けられている国からの採用です。
公益財団法人国際人材協力機構(JITCO)の資料によると、以下の4か国からの採用では送り出し機関の利用が必須となっています。(2026年4月現在)
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フィリピン
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カンボジア
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ベトナム
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ミャンマー
手数料の相場は国によって異なりますが、一般的に採用する外国人の給与1か月分〜3か月分程度とされています。
この手数料がエージェントの提示する「紹介手数料」に含まれているのか、あるいは別途コストとして発生するのかを精査する必要があります。
窓口となる会社によっては、国外採用であっても送り出し手数料を別途請求しない体系を設けている場合もあるため、一社のみで判断せず、複数の事業者から相見積もりを取ってトータルコストを比較検討することがお勧めです。
登録支援委託費
特定技能1号の受入企業に義務付けられている「10項目の支援」を、登録支援機関へ外部委託する場合の月額費用です。支援の質や範囲(定期面談の回数や同行支援の有無など)によって変動します。
受入れのメリットと実務上の注意点
企業が得られる主なメリット
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即戦力性の高さ:技能実習と異なり、試験(技能・日本語)に合格している、または実習修了済みのため、教育コストを抑えて現場に投入できます。
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人数制限がない:建設や介護など一部を除き、日本人枠を気にせず必要な人数を雇用可能です。
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長期雇用の道:2号へ移行すれば、無期限の雇用が可能になり、将来の現場リーダー候補として育成できます。
想定すべきリスクと対策
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転職の自由:同一職種内であれば転職が可能です。離職を防ぐには、適切な処遇(昇給制度)や定期的な面談を通じたメンタルケア、社内コミュニティへの統合が不可欠です。
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支援の負担:自社で支援を行う場合、多言語対応や煩雑な書類作成が負担となります。リソースが限られる場合は、専門の「登録支援機関」を活用するのが現実的です。
技能実習・育成就労との違いと制度選びの考え方
2024年に成立した改正法により、2027年4月までに「技能実習制度」は廃止され、新たに「育成就労制度」が開始されます。
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目的の変化:「国際貢献」から「特定技能1号への育成」へと、より実務的な制度に変わります。
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転籍の緩和:従来の技能実習では事実上不可能だった「本人希望による転籍(転職)」が、一定の条件(1〜2年の就労、日本語能力など)の下で認められるようになります。
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新キャリアパス:育成就労(3年間)→ 特定技能1号(5年間) → 特定技能2号(無期限)という一気通貫のルートが確立されます。
まとめ:外国人雇用における特定技能活用のポイント
特定技能の活用は、単なる欠員補充ではなく、企業の成長を支える「人材戦略」そのものです。成功させるためには、以下の3つのアクションから始めましょう。
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分野確認:自社の事業が16分野に該当し、受入要件を満たしているか確認する。
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ルート選定:「即戦力が欲しいなら特定技能」「中長期で育てたいなら育成就労」とニーズを整理する。
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支援方針決定:自社で支援を行うか、登録支援機関へ委託するか、コストと工数を比較する。
2027年の制度改正を見据え、今から特定技能の運用ノウハウを蓄積しておくことは、将来の採用競争力を高める大きなアドバンテージとなるはずです。
特定技能外国人の採用を検討されている企業様、また制度の運用にお悩みの人事担当者様は、ぜひ北海道アルバイト情報社へご相談ください。
当社では、ミャンマーとベトナムに拠点を持ち、インドネシアとも数々の送り出し機関と協定結び、外国人材採用の展開を行っています。教育から採用までを一貫してサポートできる体制を整えており、貴社のニーズに最適な特定技能人材のご紹介が可能です。
「まずは自社が対象分野か知りたい」「採用から支援までのトータルコストを知りたい」といった初期段階のご相談も大歓迎です。北海道内の企業様はもちろん、全国の事業者様の課題解決をサポートいたします。外国人雇用のパートナーとして、ぜひお気軽にお問い合わせください。
Writer
ヒトキタ編集部 小林陽可
Profile
求人営業部での法人営業を経験した後、WEB記事のライティングや自治体への移住施策企画のディレクション等に従事。現在は広報業務・営業支援を行う。