特定技能外国人の受け入れ条件とは?企業の要件と手続きの流れを解説

特定技能外国人の受け入れ条件とは?企業の要件と手続きの流れを解説

特定技能外国人を受け入れるには、受入れ機関として「雇用契約の適切性」「機関自体の適正性」「支援体制の整備」「支援計画の策定」という4つの基準を満たす必要があります。

特定技能制度は対象分野の拡大が進んでおり、2026年8月現在は19分野が対象となっています。なお、新設分野は受入れ開始時期が異なるため注意が必要です。

2026年1月には、2029年3月までの特定技能1号の受入れ見込数が80万5,700人に設定されました。2025年12月末時点の特定技能在留外国人数は39万296人に達しており、制度利用は拡大を続けています。この記事では、受入れ企業が満たすべき要件や実際の手続きの流れを詳しく解説します。

※この記事は2026年8月現在の法令および運用状況に基づき作成しております。制度の内容は適宜変更される可能性があるため、実際の申請に際しては、必ず出入国在留管理庁の公式サイトをご確認いただくか、行政書士などの専門家、または管轄の出入国在留管理局へお問い合わせください。

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目次

特定技能1号と2号の違い

具体的な受入れ条件を見ていく前に、特定技能の「1号」と「2号」の違いを整理しておきましょう。

  • 特定技能1号:通算の在留期間に上限(最長5年)があり、原則として家族の帯同は認められません。また、受入れ機関には生活や業務のサポートを行う「支援義務」があります。

  • 特定技能2号:熟練した技能を持つ外国人が対象です。在留期間の更新回数に制限がなく、要件を満たせば家族帯同も可能になります。また、受入れ機関の支援義務はありません。

企業の受入れ実務においては、手続きや支援義務が伴う「1号」の受け入れが中心となるため、この記事では主に1号を前提とした要件を解説しています。

特定技能の対象となる19分野

特定技能制度では、人手不足が特に深刻な分野を対象に外国人材の受入れが認められています。2026年8月現在、特定技能の対象分野は以下の19分野です。

  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 工業製品製造業
  • 建設
  • 造船・舶用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 自動車運送業

  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業
  • 林業
  • 木材産業
  • 資源循環
  • 物流倉庫
  • リネンサプライ

ただし、企業の業種がこれらの分野に該当していても、すべての業務で特定技能外国人を受け入れられるわけではありません。分野ごとに対象となる業務区分や、外国人が従事できる業務内容が定められています。

また、分野によっては協議会への加入や事前認定など、共通の受入れ基準に加えて追加要件が設けられている場合もあります。そのため、受入れを検討する際は、自社の業種だけでなく「実際に任せたい業務が対象となるか」まで確認することが重要です。

受入れ機関が満たすべき4つの基準

特定技能外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)は、出入国管理法等の法令に基づき、適正な受入れ体制を確保しなければなりません。

特定技能の受入れには、雇用契約や受入れ機関自体の適正性に加え、特定技能1号の場合は支援体制の整備や支援計画の策定が求められます。企業が確認すべき主な要件を4つ解説します。

1. 雇用契約の適切性

特定技能外国人との間で結ぶ雇用契約(特定技能雇用契約)は、同等の業務に従事する日本人と比較して、同等以上の報酬とする必要があります。外国人であることを理由に不当に低い賃金を設定することは禁止されています。また、所定労働時間についても通常の労働者(フルタイムの正社員など)と同等である必要があります。

雇用形態は直接雇用が原則です。派遣社員としての受入れは、季節による作業の繁閑が大きく、複数の派遣先での就労が想定される「農業分野」および「漁業分野」にのみ例外的に認められています。

さらに、特定技能雇用契約には特有の条項を盛り込む必要があります。外国人が一時帰国を希望した場合には、必要に応じて有給休暇を追加で付与するなどの配慮をすることや、雇用契約が終了して帰国する際に本人が旅費を負担できない場合は、受入れ機関が帰国費用を負担し、出国が完了するまで必要な措置を講じることが定められています。

2. 受入れ機関自体の適正性

特定技能外国人を適正に受け入れるための体制や、法令遵守状況などが確認されます。以下の欠格事由に該当する場合は、特定技能外国人を受け入れることができません。

欠格事由に該当しないこと

労働基準法や最低賃金法、出入国管理法などの関連法令を遵守していることが大前提です。過去5年以内に出入国・労働法令違反で罰則を受けた企業や、技能実習生の受入れにおいて認定の取消しを受けた企業などは欠格事由に該当し、受入れが認められません。

非自発的離職者・行方不明者がいないこと

実務上特に見落とされやすいのが「1年以内に非自発的離職者を発生させていないこと」という要件です。特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を、会社都合(リストラや解雇など)で離職させている場合、受入れは不可となります。また、過去1年以内に自社の責めに帰すべき事由により特定技能外国人や技能実習生の行方不明者を発生させている場合も欠格事由となります。

保証金・違約金契約の禁止

外国人本人やその家族などの関係者から、名目のいかんを問わず保証金を徴収することや、労働契約の不履行に対して違約金を定める契約を締結することは禁止されています。また、報酬を確実かつ適正に支払うため、給与は外国人の同意を得たうえで、本人の銀行口座へ直接振り込むことが定められています。

3. 支援体制の整備

この基準は、特定技能1号の外国人を受け入れる場合にのみ適用されます。特定技能1号の外国人に対しては、日常生活や社会生活、職業生活を円滑に送れるよう、受入れ機関がサポート(支援)を行う義務があります。

自社で支援体制を整える場合は、過去2年間の中長期在留者の受入れ・管理実績や、生活相談業務の経験を持つ職員の配置など、所定の要件を満たす必要があります。自社で支援を実施する場合は、支援責任者と支援担当者が中立的な立場で支援を行える体制であることも求められます。

具体的には、外国人の直属の上司など、指揮命令権を持つ者が支援担当者を兼任することは原則として認められません。

国が登録した「登録支援機関」に支援業務の全部を委託することも可能です。支援の全部を登録支援機関に委託した場合は、この「支援体制の整備」の基準をクリアしたものとみなされます。

※支援体制の要件については、将来の制度改正により変更される場合があるため、最新情報を確認するようにしてください。

4. 支援計画の策定

「支援体制の整備」と同様に、特定技能1号の外国人を受け入れる際に適用される基準です。受入れ機関は、特定技能外国人をサポートするための具体的な「1号特定技能外国人支援計画」を策定し、在留資格申請時に出入国在留管理庁へ提出しなければなりません。

支援計画には、以下の10項目の義務的支援を盛り込む必要があります。

  1. 事前ガイダンス:雇用契約内容や日本での活動に関する情報提供。

  2. 出入国時の送迎:入国時は空港から事業所・住居まで、帰国時は空港保安検査場まで同行。

  3. 住居確保・生活に必要な契約支援:物件探しのサポート、連帯保証人への就任、口座開設や携帯電話契約の同行。

  4. 生活オリエンテーション:日本のルールやマナー、公共機関の利用方法などを説明。

  5. 公的手続等への同行:住民登録、税金、年金などの手続きのサポート。

  6. 日本語学習の機会の提供:日本語教室の案内や学習教材の提供。

  7. 相談・苦情への対応:職場や生活上の相談に対し、母国語で対応し助言を行う。

  8. 日本人との交流促進:地域の行事や町内会への参加を案内。

  9. 転職支援:会社都合で離職させる場合など、次の受入れ先を探すサポート。

  10. 定期的な面談・行政機関への通報:支援責任者らが定期面談を実施し、法令違反等があれば関係機関へ通報する。

支援計画を策定する際の重要な要件として、これらの支援は「外国人が十分に理解できる言語(母国語など)」で実施する体制を整える必要があります。自社で対応する場合は通訳者の確保や多言語資料の準備が必要となるため、対応言語のスタッフを抱える登録支援機関に委託するケースが多くなっています。

分野ごとに求められる追加の条件

特定技能では、共通の基準を満たしているだけでは受入れが認められない場合があります。対象分野のそれぞれを管轄する省庁が、分野特有の事情に合わせて「分野別の追加要件(上乗せ要件)」を定めているためです。

協議会への加入

受入れ機関は、分野ごとに設置された特定技能協議会の構成員となり、協議会が行う調査や情報提供などに必要な協力を行うことが求められます。加入手続きや時期は分野によって異なるため、受入れ前に確認しておきましょう。 大半の分野において協議会の加入費用は無料ですが、建設分野におけるJAC(一般社団法人建設技能人材機構)など一部機関では費用が発生するため、分野ごとの要件を確認する必要があります。

建設・介護など分野固有の上乗せ要件

業務の専門性や業界の特性に応じて、細かな上乗せ要件が設定されている分野があります。代表的な例として「建設分野」と「介護分野」を取り上げます。

建設分野の追加要件

建設分野で特定技能外国人を受け入れるには、共通基準や協議会加入に加えて、以下の要件などを満たす必要があります。

  • 建設業許可を受けていること

  • JAC(一般社団法人建設技能人材機構)に加入していること(直接または間接加入)

  • 建設キャリアアップシステム(CCUS)に元請け・下請けを含め登録していること

  • 国土交通大臣による「建設特定技能受入計画」の認定を受けていること

  • 日本人と同等以上の報酬であることなど、適正な就労環境を確保すること

建設分野では、出入国在留管理庁への在留資格申請の前に、国土交通省のポータルサイトを通じて受入計画の認定を受けるプロセスが必要となります。

介護分野の追加要件

介護分野では、受入れできる特定技能外国人の人数に、原則として事業所単位での上限が設けられています。 事業所に勤務する日本人等の常勤介護職員の総数が上限の目安となります。

  • たとえば常勤介護職員が10人の事業所であれば、特定技能外国人は原則最大10人まで受け入れられます。

受入れを検討する際は、事業所の常勤介護職員数をもとに受入れ可能人数を事前に確認しておくことが重要です。

受入れ後に企業が継続して行う3つの対応

特定技能外国人の受入れは、就労を開始したら終わりではありません。

受入れ条件はスタートラインであり、企業には受入れ期間中も、適正な雇用や支援、必要な届出などを継続して行うことが求められます。

 これらの義務を怠った場合、出入国在留管理庁からの指導や改善命令の対象となるほか、悪質な場合は受入れの停止処分や外国人の在留資格取消しにつながる可能性があります。

1. 雇用契約の適正な履行

受入れ機関は、在留資格申請時に提出した雇用契約書の内容を、就労開始後も誠実に履行し続ける義務があります。

具体的には、契約で定めた報酬額や労働条件を受入れ期間中も維持する必要があります。 また、特定技能外国人を契約で定めた対象分野・業務区分以外の仕事に就かせることは不法就労となるため禁止されています。

関連業務への付随的な従事は一定程度認められますが、本来の業務と無関係な作業を主として行わせることはできません。さらに、契約終了時の帰国費用負担に関する義務も継続して果たす必要があります。

2. 1号特定技能外国人支援の実施

特定技能1号を受け入れる場合、事前に策定した「支援計画」に基づいて、前述した10項目の義務的支援を実際に実施する義務があります。

登録支援機関への委託

これら10項目の支援は、母国語での対応や専門的な手続きが含まれるため、支援業務の全部を登録支援機関に委託することが可能です。委託した場合、受入れ機関は支援体制の基準を満たしたものとみなされ、実際の支援業務は登録支援機関が代行します。

3. 出入国在留管理庁への届出

受入れ機関は、特定技能外国人の活動状況や支援の実施状況について、管轄の地方出入国在留管理局へ届け出る義務があります。届出を怠ったり虚偽の報告をしたりすると指導の対象となり、悪質な場合は罰則が科される可能性があります。 届出には大きく分けて「随時届出」と「定期届出」があります。

  • 随時届出は、雇用契約や支援計画の変更、受入れ困難など、所定の事由が発生した場合には、原則として14日以内に随時届出を行います。

  • 定期届出は、外国人の受入れ・活動・支援実施状況を報告するものです。2026年現在の制度では、対象期間は4月1日から翌年3月31日までで、翌年4月1日から5月31日までにまとめて「受入れ・活動・支援実施状況に係る届出」を提出するルールとなっています。

受入れから就労開始までの手続きフロー

特定技能外国人を受け入れる際の手続きは、対象となる外国人がすでに日本国内にいるか、海外に在住しているかによって流れが異なります。

国内在留者を採用する場合

日本国内の留学生や、技能実習生からの切り替えで採用する場合の手続きフローです。技能実習2号を良好に修了し、技能実習の職種・作業と特定技能の業務区分に対応関係がある場合は、技能試験・日本語試験が免除されます。

  1. 試験の受験・合格 試験免除対象者以外(留学生など)は、各分野の技能試験と日本語試験を受験し、合格する必要があります。

  2. 面接・雇用契約の締結 企業と外国人で面接を行い、双方が合意すれば特定技能雇用契約を締結します。

  3. 事前ガイダンスの実施・支援計画の策定 特定技能1号の場合、外国人が十分に理解できる言語で事前ガイダンスを実施し、支援計画を策定します。

  4. 在留資格変更許可申請 受入れ機関または行政書士等が、管轄の出入国在留管理局へ「在留資格変更許可申請」を行います。審査期間は申請内容や時期などによって異なるため、就労開始希望日から逆算して余裕を持って申請します。

  5. 許可・就労開始 審査に通過して新しい在留カードが交付されれば、就労がスタートします。就労開始後、必要に応じて分野ごとの協議会への加入手続きを行います。

海外在住者を採用する場合

海外にいる外国人を新たに日本へ呼び寄せて採用する場合の手続きフローです。国内在留者を採用するケースと比べて、現地での査証(ビザ)申請や入国手続きが追加されます。 また、ベトナム、フィリピン、カンボジアなど二国間協定を締結している国からの受入れでは、現地の政府が認定した送出機関を通すなど、国ごとの特別な手続きが必要となる点に注意が必要です。

  1. 試験の受験・合格(国外実施) 現地の試験会場等で実施される技能試験および日本語試験を受験し、合格する必要があります(元技能実習生等は免除される場合があります)。

  2. 面接・雇用契約の締結 オンライン面接等を実施し、合意に至れば特定技能雇用契約を締結します。

  3. 事前ガイダンスの実施・支援計画の策定 オンライン等を活用し、母国語で事前ガイダンスを実施して支援計画を策定します。

  4. 在留資格認定証明書交付申請 受入れ機関等が日本国内の出入国在留管理局へ「在留資格認定証明書」の交付申請を行います。

  5. 在留資格認定証明書の交付と査証(ビザ)申請 審査を通過して在留資格認定証明書の交付を受けたら、外国人本人へ送付し、現地の日本大使館・領事館等で査証の発給申請を行います。

  6. 入国・就労開始 査証が発給されたら日本へ入国します。在留資格認定証明書は、原則として交付日から3か月以内に入国する必要があるため、査証申請から入国までのスケジュールをあらかじめ確認しておきましょう。入国時の送迎や生活オリエンテーションを実施し、就労がスタートします。

※分野によっては、受入れ見込数等を踏まえ、申請受付や審査に関する特別な措置が講じられている場合があります。最新の運用状況を確認してください。

特定技能外国人の受入れを検討する前に確認したい3つのポイント

ここまで解説してきた通り、特定技能の受入れにはさまざまな要件があります。自社で本格的に受入れを検討する際は、まず以下の3点を確認することをおすすめします。

  1. 自社の業種・業務が対象分野に含まれるか 自社で行わせたい業務が、現在の受入れ対象分野(19分野)に該当するかを確認します。新設分野については受入れ開始時期が異なる場合があるため、あわせて最新の情報をチェックしておきましょう。

  2. 分野別の人数上限・追加要件を満たせるか 建設分野や介護分野のように、事前の認定や人数制限などの追加要件があるか、要件をクリアできる体制があるかを確認します。

  3. 支援業務を自社で行うか、登録支援機関へ委託するか 特定技能1号を受け入れる場合、母国語での支援体制を自社で構築するか、登録支援機関へ委託するかを方針として決定します。

まとめ

特定技能外国人を受け入れるには、企業の適正な雇用体制や、支援体制の整備などが求められます。さらに、分野ごとの追加条件をクリアし、受入れ後も雇用契約の履行、支援の実施、出入国在留管理庁への定期・随時の届出という対応を継続して果たさなければなりません。

手続きの流れは国内在留者か海外在住者かで異なり、準備する書類も多岐にわたります。条件の確認や手続きに不安がある場合は、行政書士や登録支援機関といった専門家への相談を選択肢として検討するとよいでしょう。

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Writer

ヒトキタ編集部 コバヤシ


Profile

求人営業部での法人営業を経験した後、WEB記事のライティングや自治体への移住施策企画のディレクション等に従事。現在は広報業務・営業支援を行う。