
「自社で一度も求人を出したことがなく、給与や休日の相場がわからない」「郊外にあり、通勤の不便さから人が集まるか不安」「家族経営から脱却して、若い世代に技術を継承したい」——こういったお悩みをお持ちの採用担当者様は必見です。
本記事では、北海道アルバイト情報社が運営する求人メディア「ジョブキタ」と「Indeed」を募集メディアとして活用し、見事に正社員の採用に成功した、北海道旭川市の「株式会社かのFARM(ファーム)」様の採用事例をご紹介します。
「郊外・求人実績ゼロ」からスタート!家族経営農家の採用挑戦ストーリー
北海道旭川市中心部から車で約40分の郊外に位置する、農業法人「株式会社かのFARM(ファーム)」。これまで家族経営で農業を行ってきた同社ですが、高齢のご両親が安心して引退できるよう、次世代を担う若いスタッフを迎えるため、初めての求人募集を行うことになりました。
募集条件もターゲットも「完全に白紙」という状態からのスタートでしたが、求人開始からわずか4週間で約30名もの応募が殺到。旭川市内の全業種と比較しても圧倒的な反響となり、面接や職場見学の対応に追われ、一時掲載をストップするほどの異例の大成功を収めました。
なぜ、一度も求人を出したことがなかった郊外の農家に、これほど多くの若手が集まったのでしょうか。そこには、農家に対するマイナスイメージを解消する丁寧な条件設計と、社長の「たのしい農業」という想いを言葉にして届けた、客観的なアプローチがありました。

ゼロからのスタート!家族経営の農家が直面した「採用の壁」
旭川市で米や蕎麦などの生産を手がける「株式会社かのFARM」。初めて会った鹿野社長は親しみやすい笑顔が印象的な方で、地域農業の未来を見据えた高い熱量をお持ちでした。
しかし、これまでは家族のみで事業を営んできたため、自社で人を募集・採用した経験が一度もなく、社内には採用に関する知識やノウハウが一切ありませんでした。
当時抱えていた主な課題
- 採用経験の完全なブランク(ゼロベース):募集要項(ターゲット・給与・休日・福利厚生など)の基礎部分すら決まっておらず、世間の相場もわからない状態。
- 農業特有のイメージと立地のハードル:旭川市中心部から車で約40分という通勤上のハンデに加え、「夏は休めない」「冬は除雪作業」「朝が早くて重労働」といった農業特有の先入観・警戒感を持たれやすい。
- 漠然とした人物像(ペルソナ):当初は「一生懸命な若い子」という抽象的なイメージにとどまり、具体的にどのような人材を何名採用すべきか明確になっていなかった。
「両親が元気に動けるうちに若い世代を採用し、一緒に働きながら技術や想いを引き継いでいきたい」。社長のこの願いを叶えるため、ゼロからの条件づくりと、ターゲット層(ペルソナ)の明確化が急務となりました。

農家のマイナスイメージを払拭する「条件設計」と「想いの言語化」
今回は、求職者が抱く農業への疑問や不安を片っ端から整理し、原稿内では一つひとつ解消できるように表現しました。また、雇用条件の設計についても柔軟に設定が行われました。
1.ライフスタイルに寄り添う勤務・休日条件の再定義
現代の求職者(特に20〜30代)が重視するワークライフバランスに合わせ、一般的な農家のイメージを覆す労働条件が整理されました。
- 勤務時間の見直し:「朝は8:30〜17:30」に設定。子どもの送迎があるスタッフにも配慮し、「送迎後の出勤(9時過ぎなど)もOK」とする柔軟な体制を明記しました。
- 休日の確保:「隔週土日休み(繁忙期の5月・6月・9月のみ日曜休み)」を導入。お盆明けには家族旅行に行けるよう夏季休暇を設定しました。
- 冬期間(12〜2月)の給与保障完全休日:農閑期となる冬の3カ月間は完全休日とし、その間も月給22万円を全額支給するという手厚い待遇を可視化しました。
2.応募ハードルを下げる工夫(AT限定可・カジュアル面談)
農作業に必要なトラクターの運転について、若い世代に多い「AT限定免許」の求職者を排除しないよう、「AT限定OK(冬場に資格取得を支援)」としました。また、いきなり面接を受ける心理的ハードルを考慮し、履歴書なしのカジュアル面談や職場体験の受け入れを表明しました。
3.社長の想いと「たのしい農業」の可視化
鹿野社長のモットーである「たのしく農業をやりたい」「子どもから『お父さんの仕事って楽しそうだね』と言われる職業にしたい」という想いを原稿内でそのまま言葉にしました。
さらに、ドローンの導入や田植えシステムの一新など、作業を効率化して「楽に、楽しく」働くための積極的な投資姿勢をアピールしました。
4.ターゲット層へ届くメディア選定(年間掲載×複数チャネル)
20〜30代男性の母集団形成を確実にするため、地域に特化した「ジョブキタ一次産業Web(年間契約)」と、露出を高める「Indeed(インディード)スタンダード」を組み合わせ、年間を通じて求職者の目に触れる体制を構築しました。

4週間で約30名応募!選考が追いつかず一時掲載ストップという異例の反響
2025年4月から求人掲載を開始したところ、当初抱いていた不安を大きく吹き飛ばす驚異的な成果があらわれました。
| 募集人数 | 2名(正社員) |
| 募集メディア | ジョブキタ、Indeed |
| 応募総数 | 約30名 |
| 募集期間 | 4週間(※当初1年の予定を早期終了) |
| 応募者の層 | ターゲット通りの20〜30代男性が大半。帯広など遠方からの応募も獲得。 |
| 採用結果 | 応募者多数のため掲載を一時ストップし、面接・職場見学を順次実施。関東出身の20代女性と30代男性の2名を採用。 |
旭川市内の全業種と比較しても頭一つ抜けた応募数であり、一般的に応募が集まりやすいとされる事務職の募集をも上回る圧倒的な反響となりました。
応募者の中には、「社長の考え方に共感して、こんな人と一緒に働きたいと思った」と熱意を語る方も多く見られました。「良い人ばかりで誰を採用すべきか困ってしまう」「面接や見学の対応が追いつかない」と、社長がうれしい悲鳴をあげるほど、質の高い母集団形成に成功しました。

第三者目線の分析:自社の「当たり前」にある魅力と柔軟な条件設定の重要性
今回の成功事例から、地方・郊外の企業や第一次産業における採用のポイントを分析すると、以下の3点が挙げられます。
- 業界の固定観念にとらわれない柔軟な条件設計:「農家だから土日休みは無理」「冬は除雪させるのが当たり前」といった固定観念を捨て、現代の求職者が求める安心感(冬期の給与保障、子育て配慮、月給22万円の設定)を提示したことが、大きな差別化(採用競争力)につながりました。
- 社長の理念や人柄という「無形の魅力」の言語化: 単に作業内容を並べるのではなく、「なぜこの仕事を行うのか」「どんな想いで仲間を迎えたいのか」という社長の理念をストレートに言葉にしたことが、ターゲット層の深い共感(マッチング精度)を呼びました。
- 客観的な視点による魅力の再発見: 自社にとっては当たり前の取り組み(作業効率化のための機械投資や家族的な温かさ)も、第三者の視点を入れることで、求職者にとって強力な訴求ポイントに生まれ変わります。
株式会社かのFARM
北海道旭川市東旭川町で3代にわたって稲作を営む農家。農地面積の拡大に伴い、2023年に法人化。現在は主力のお米に加え、ソバやサツマイモなど多品目の栽培にも取り組んでいます。

まとめ:一歩を踏み出すことで、採用の可能性は大きく広がる
「うちは一度も求人を出したことがないから」「立地が不便で業界のイメージもよくないから」とあきらめる必要はありません。
自社の中に眠っている「仕事の面白さ」や「従業員への思いやり」を丁寧に見つめ直し、求職者目線で発信していくことで、ターゲットとする人材からの反響を確実に引き出すことができます。
「自社の魅力をどう表現すればよいかわからない」「何から手をつければよいか迷っている」という採用担当者様は、ぜひ一度、自社の「当たり前の良さ」を整理してみてはいかがでしょうか。
Writer
ヒトキタ編集部 トモサカ
Profile
法人営業や編集職を経て、広報を担当。現在は、SNSや自社サイトの運用をはじめ、イベントやメルマガを活用した販促・営業支援企画も手掛けている。