
採用活動におけるトラブルと聞くと、「面接での不適切な質問」をイメージされる方が多いかもしれません。しかし、求職者が「差別を受けた」「不快だ」と感じてしまうきっかけは、面接の場だけではないのです。
例えば、求人サイトに掲載する「募集記事の書き方」や、応募者からかかってきた「電話での何気ない対応」の段階で、思いがけずトラブルの種がまかれてしまっているケースが多々あります。「自社にマッチする人を探したい」「効率よく選考を進めたい」という採用側の悪気のない行動が、結果として求職者を傷つけ、企業にとっても大きなリスクとなってしまうことがあります。
「職業選択の自由」や「就職の機会均等」の実現に向け、雇用する側には広く門戸を開くことが求められています。大切なのは、応募者の適性と能力に基づいた「公正な選考採用」を行うことです。
本記事では、弊社の読者相談室に寄せられた実際の事例をもとに、具体的によくあるトラブル3例とその対策、そして企業が知っておくべきリスクについて解説します。
目次
- 性別によるトラブル:「女性(男性)のみ採用」やライフイベントに関する質問
NG例1:「女性(男性)のみ採用です」と応募を断った
NG例2:女性の応募者にのみ「結婚・出産の予定」を質問する - 年齢によるトラブル:「〇歳以上は採用していない」という年齢制限
NG例:「〇歳以上は採用していない」と応募を断った - 選考によるトラブル:電話応募時の属性選別と後出しの選考条件
NG例:「お気軽にお電話ください」とのみ求人に記載し、電話をしてきた応募者の年齢確認をした上で「書類選考を行うので写真付履歴書を郵送してください」と伝えた - 悪気のない対応が引き起こす!就職差別が企業に与える3つのリスク
レピュテーションリスク(評判被害)
法的リスク(行政指導・罰則)
ビジネス機会の損失 - トラブルを防ぐために!質問内容の見直しと標準化
解決策:質問内容の標準化・テンプレート化 - 北海道アルバイト情報社での取組み
性別によるトラブル:「女性(男性)のみ採用」やライフイベントに関する質問
NG例1:「女性(男性)のみ採用です」と応募を断った
男女雇用機会均等法や職業安定法により、一部の適用除外を除き、性別を限定した募集や選考を行うことはできません。性別ではなく、【その仕事に適性があるかどうか】を基準に選考・採用を行うことが大切です。
NG例2:女性の応募者にのみ「結婚・出産の予定」を質問する
「結婚や出産を機に辞めてしまうのではないか」という懸念から質問してしまうケースが見られますが、こうした性別を理由とした質問はNGです。
男女を問わず、結婚や出産などをきっかけにワークライフバランスを見直す可能性は誰にでもあります。そのため選考の段階で選別するのではなく、結婚や出産前後も無理なく働き続けてもらえるよう、社内の制度や環境を整えていくことが求められます。
もし求職者側から結婚や出産の話題が出た場合は、「選考には影響しない」旨を丁寧にお伝えし、適切に別の質問へと切り替えるようにしましょう。
年齢によるトラブル:「〇歳以上は採用していない」という年齢制限
NG例:「〇歳以上は採用していない」と応募を断った
労働施策総合推進法や職業安定法により、例外事由に該当する場合を除き、応募者の年齢制限は原則として禁止されています。
「体力を使う業務だから、高齢の方は難しいかもしれない」と業務内容を懸念して制限を設けたくなることもあるかもしれません。しかし、年齢に関わらず体力には個人差があり、年齢で一律に制限してしまうことで、かえって業務経験が豊富な優秀な人材を逃してしまう可能性もあります。
年齢ではなく【その仕事に適性があるかどうか】を基準にし、必要な業務内容や能力(資格・経験等)を具体的にお伝えした上で、人物本位で適性があるかを確認していきましょう。
選考によるトラブル:電話応募時の属性選別と後出しの選考条件
NG例:「お気軽にお電話ください」とのみ求人に記載し、電話をしてきた応募者の年齢確認をした上で「書類選考を行うので写真付履歴書を郵送してください」と伝えた
一見問題のない対応に思えるかもしれませんが、電話対応の段階で応募者の性別や年齢を把握して対象者を限定したり、属性によって受付方法を変えたりする行為は就職差別にあたります(男女雇用機会均等法・労働施策総合推進法・職業安定法など)。
応募を希望されるすべての方からの応募を受け付けることはもちろん、選考についても公平な手段を用いて行うことが求められます。
このトラブルは、「応募方法や選考の流れ」や「書類選考の有無」を、あらかじめ求人広告内にしっかり明記しておくことで防ぐことができます。なお、断り文句として「もう決まりました」と事実と異なる理由を伝えるのもNGとなりますので注意しましょう。
悪気のない対応が引き起こす!就職差別が企業に与える3つのリスク
知らず知らずのうちに上記のような就職差別にあたる対応を行ってしまうと、企業には以下のような深刻なリスクが発生します。
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レピュテーションリスク(評判被害)
求職者が「差別を受けた」「不快だった」と感じたことをきっかけに、「あの会社の人事は対応がひどい」といった口コミがネットやSNSで拡散されてしまうリスクがあります。悪評が広まることで求職者から敬遠され、今後の採用活動に長期的な悪影響を及ぼす可能性があります。
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法的リスク(行政指導・罰則)
不適切な採用選考を行い違反行為となった場合、職業安定法に基づく行政指導や改善命令の対象となります。改善命令に違反した場合には、罰則(6ヶ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)が科せられることもあります。
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ビジネス機会の損失
選考の結果として今回はご縁がなかった場合でも、求職者は将来の貴重な「お客様」「取引先」「サービスの利用者」になる可能性があります。選考結果に関わらず、今後のご縁につなげる誠意ある対応を心がけましょう。
トラブルを防ぐために!質問内容の見直しと標準化
「どこまで聞いてよいのか、何を質問してよいかわからなくなってしまった」とお悩みの場合は、まず質問基準の見直しから始めましょう。
「信仰している宗教」「支持政党」「家族構成」「本籍地」など、仕事の適性確認に直接関係のない項目は、求職者にしてはいけない質問として法律やガイドラインで定められています。
解決策:質問内容の標準化・テンプレート化
「どのような質問をすればよいか迷ってしまう」という場合は、あらかじめ面接質問をテンプレート化しておくのがおすすめです。
事前に質問項目と「確認したい適性」を明確にしておくことで、不適切・不必要な質問を防ぐとともに、面接官ごとの対応のブレや面接業務の属人化を防ぐことができます。「気が合いそう」「趣味が同じ」といった個人的な好みではなく、統一された基準で公正に適性を見極めていきましょう。
北海道アルバイト情報社での取組み
北海道アルバイト情報社では、適正な求人広告が掲載されるよう、営業担当者への社内研修の実施や「求人広告取扱者」資格の取得推進を行っています。
また、全国求人情報協会が発行している「募集・採用の基礎知識」ハンドブックの配布を行い、求人募集や面接などの対応でトラブルが発生しないよう啓発活動に取り組んでおります。
採用活動での不安解消やトラブル防止に役立つハンドブックをご希望の方は、ぜひ下記よりお気軽にご依頼ください。
厚生労働省委託事業により制作された【募集・採用の基礎知識】ハンドブックを無償でお渡ししています。
北海道内の企業・事業主様で、ご希望の方はお問い合わせいただき、ぜひご活用ください。
「職業選択の自由」「就職の機会均等」の実現に向け、雇用する側が広く門戸を開くことが求められています。応募者の方々の適性・能力に基づいた「公正な選考採用」の実践に、ぜひご協力をお願いいたします。
Writer
ヒトキタ編集部 イケダ
Profile
前職でWEBマーケティングに従事。HAJ入社後はWEBサイト制作のディレクション業務・WEB集客を担当し、現在はサイト運営・WEB運営支援を行う。